2011 Fiscal Year Annual Research Report
アダプター・MDR1欠損マウスを用いた消化管薬物吸収機構のインビボ解明
Project/Area Number |
22790152
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉浦 智子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70542190)
|
Keywords | トランスポーター / アダプター / 消化管吸収 / PDZK1 / BCRP / OATP1A2 / 薬物動態学 |
Research Abstract |
小腸上皮細胞刷子縁膜上に発現する複数の取り込みトランスポーター(PEPT1,OCTN2,OATP1A)の機能・発現調節因子であることを示唆してきたアダプタータンパク質PDZK1に着目した。本年度は昨年度までに引き続き、PDZK1遺伝子欠損マウス(pdzkr1^<-/->を用い、薬物の消化管吸収機構の解明を試みた。小腸での吸収機構が未知であったcimetidineの消化管吸収過程の解明を目的とし、pdzkr1^<-/->を用いたin vivo試験を行ったところ、cimetidineの分泌に関わる排出トランスポーターBCRPの発現がpdzkr1^<-/->で顕著に減少しており、結果としてcimetidineの経口投与後の血漿中濃度が有意に上昇した。さらに遺伝子発現細胞を用いた検討から、BCRPを介した抗癌剤SN-38に対する薬剤耐性がPDZK1存在下で有意に強くなることも見出した(Shimizu et al.,2011にて発表)。またPDZK1は小腸だけでなく、肝臓の類洞膜側に発現するOATP1A1の局在を制御する。そこでpdzkr1^<-/->マウスを用いることで、新規血小板増多剤eltrombopagの肝取り込み過程にOATPsが関与することをin vivoで示唆した。Eltrombopagは経口剤であるがその消化管吸収機構は未知であるため、同様にpdzkr1^<-/->を用いた消化管吸収機構の解明をすべく現在進行中である。このようにPDZK1は小腸に発現する取り込みおよび排出トランスポーターを制御することで、生体を異物から防御していると考えられる。pdzkr1^<-/->は、複数のトランスポーターを制御するため、消化管吸収機構解明に有用なツールであった。本申請研究は順調に進行し、その結果は国内学会、国際学会で発表するとともに、学術誌・図書に投稿・公表し、世界に向けて情報を発信した。
|