2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャンバーを用いたトランスポーター輸送効率スクリーニングシステムの構築
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22790156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津金 麻実子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00469991)
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Keywords | マイクロチャンバー / トランスポーター / 抗がん剤 / 臨床薬学 |
Research Abstract |
本研究では、半導体微細加工技術により作成したマイクロチャンバーアレイを用いて、ABCトランスポーターを介した抗がん剤の排出を蛍光イメージングにより計測するシステムの構築を目的としている。平成22年度は、その基盤となるデバイス、実験条件の設定について検討した。マイクロチャンバーアレイは、細胞より小さい微小チャンバーアレイをガラス基板上に構築して作成した、体積がピコリットルオーダーの微小空間である。まず、マイクロチャンバーアレイの作成にあたり、その材質(ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリパラキシリレン(パリレン)、金属コーティング)、微小チャンバーのサイズや配置、培養細胞の接着に必要な細胞外マトリックスのコーティング剤(ポリ-D-リジン、コラーゲン、フィブロネクチンなど)の検討を実施した。その結果、HeLa細胞の接着に最適なフィブロネクチンをコートしたPDMSチャンバーを設計した。次に、マイクロチャンバーアレイに播種したHeLa細胞における、蛍光顕微鏡、CCDカメラを用いた蛍光イメージングシステムを確立した。このシステムを用いて、遺伝子導入により過剰発現させたABCトランスポーターおよび蛍光タンパク質GFPのHeLa細胞における発現や、細胞内に取り込まれた蛍光標識抗がん剤パクリタキセルの検出を確認した。トランスポーターのターンオーバーを考慮したチャンバーの設計には更なる検討の余地があるが、本システムは、細胞内からトランスポーターを通過して排出されるパクリタキセルを定量的に評価するアッセイ系の基礎となり得ると考えられる。
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