2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャンバーを用いたトランスポーター輸送効率スクリーニングシステムの構築
Project/Area Number |
22790156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津金 麻実子 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (00469991)
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Keywords | マイクロチャンバー / トランスポーター / 抗がん剤 / 臨床薬学 |
Research Abstract |
本研究では、抗がん剤のABCトランスポーターを介した排出を計測する蛍光イメージングシステムを、半導体微細加工技術により作成したマイクロチャンバーアレイを用いて構築することを目的としている。平成23年度では、平成22年度に条件検討を行ったマイクロチャンバーアレイの設計を完了し、システムの妥当性を詳細に検討した。本システムの原理は、チャンバーに細胞を密着させて、チャンバー内を閉じられた微小空間として、この内部に閉じ込められた蛍光試薬を定量的に検出するものである。そこでまず、チャンバー内が密閉空間となっていることを、細胞を播く際に添加した蛍光デキストランで確認した。次に、緑色蛍光タンパク質GFPが付加したABCトランスポーターを過剰発現させたHeLa細胞を蛍光デキストランと共にチャンバーに播き、蛍光標識抗がん剤パクリタキセルをチャンバー上部のバッファに加えて細胞内に取り込ませ、トランスポーターを介したパクリタキセルのチャンバーへの排出をタイムラプスで経時的に観察する蛍光イメージングを実施した。このシステムにおけるパクリタキセルの添加濃度や、蛍光検出可能なパクリタキセルの蓄積に要する時間、パクリタキセルの蛍光の退色、細胞にダメージを与えないタイムラプス観察の時間間隔を考慮した観察時間など各種条件設定を行った。また、MDR1の阻害剤ベラパミルを用いて、パクリタキセルとの併用時にMDR1発現細胞において細胞内からのパクリタキセルの排出が抑制されるかを検討した。本システムはトランスポーター活性のアッセイ系として有用となり得ることが示唆され、今後は患者から採取したがん細胞の抗がん剤排出活性を計測するスクリーニングシステムに発展させることを目指している。
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