2010 Fiscal Year Annual Research Report
CYP3A基質薬物の至適投与設計を目指した遺伝的予測因子の解明
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22790161
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
猿渡 淳二 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (30543409)
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Keywords | cytochrome P450 3A / 遺伝子多型 / 核内受容体 / 薬物動態 / 酵素誘導 / 抗てんかん薬 / 母集団薬物動態解析 |
Research Abstract |
Cytochrome P450 (CYP) 3Aは約半数の医薬品の代謝に関与するが、その活性の個人差を予測する遺伝因子は未解明である。本研究では、CYP3A活性に影響する遺伝因子とその寄与度を解明することを目的に、CYP3A遺伝子の転写を調節する核内受容体に着目して、てんかん患者と健康成人を対象とした薬理遺伝学的検討を行っている。 1.抗てんかん薬の薬物動態に関する研究 (1)抗てんかん薬服用患者607名の血液検体、抗てんかん薬の服用歴や投与量、各種検査値等の臨床情報を入手した。 (2)血液検体より抽出したDNAを用いて、核内受容体:pregnane X receptor (PXR)、hepatocyte nuclear factor 4α (HNF4α)、constitutive androstane receptorや、CYP3A5*3、multidrug resistance 1等の遺伝子型を判定した。 (3)HNF4α Met49Valのホモ変異型の群において、PXR*1B/*1BはPXR non-*1B/non-*1Bに比べてカルバマゼピン(CBZ)の維持投与量が約1/3であり、血中CBZ濃度はともに有効域内で差が無かった。また、CBZの母集団クリアランス式を算出したところ、CBZ投与量やフェニトイン等の併用薬に加えて、PXR及びHNF4α遺伝子型が有意に影響した。 【次年度の展望】対象者数を増やして上記の検討を継続すると同時に、CBZ以外の抗てんかん薬でも同様の検討を行う。また、その治療効果についても検討することで、遺伝子型に応じたCYP3A基質薬物の至適投与量を提示する。 2.Cortisolの尿中代謝比に関する研究 (1)高速手液体クロマトグラフィーによるcortisolとその代謝物濃度測定法を確立した。 【次年度の展望】健康成人及びCBZ服用患者(目標:各100名)の尿検体を用いて、cortisolの尿中代謝物比によるCYP3A活性を測定後、CYP3A活性に及ぼす核内受容体遺伝子型の影響の有無とその寄与度を証明する予定である。 本研究の成果により、CYP3A基質薬物の体内動態を遺伝的に予測して、適切な薬物投与量を設定するための突破口を開きたいと考えている。
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Research Products
(4 results)