2011 Fiscal Year Annual Research Report
外因性の尿酸前駆体物質及び尿酸に対するヒト特異的な生体防御機構の解明
Project/Area Number |
22790165
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 勝央 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (50315892)
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Keywords | 尿酸 / 担体輸送 / トランスポーター / SNBT1 / 吸収 / SLC23A |
Research Abstract |
前年度の研究において、SNBT1遺伝子がヒトで欠損していることが明らかとなったため、同様の遺伝子欠損が知られているuricaseとの接点を想定し、urateの体内動態との関わり合いについて検討した。rSNBT1発現系を用いてurateの細胞内取り込みを評価したところ、ナトリウム依存的なurateの輸送が認められたことより、rSNBT1は核酸塩基だけでなく、urateも輸送基質とすることが明らかとなった。しかし、rSNBT1が高発現するラット腸管組織においてurate取り込みは認められないことを踏まえ、urate排出トランスポーターのBCRPあるいはGLUT9の関与の可能性を探った。HEK293細胞を用い、rBCRPまたはrGLUT9をrSNBT1と一過性に共発現させて検討した結果、いずれの場合も排出輸送による顕著なurate取り込みの低下を生じた。また、rGLUT9がrBCRPよりも強い排出輸送活性を有することが示唆された。一方、反転腸管でのurate取り込みに対するrBCRP特異的阻害剤(ko143)の影響はみとめられなかった。rGLUT9の特異的阻害剤がないため、rGLUT9阻害の影響を検討することはできなかったが、遺伝子導入発現系においてrGLUT9がrBCRPより強い排出効果を示したことを考慮すると、rGLUT9が腸管組織でのurate排出において大きく関与している可能性が考えられる。血中urate濃度の低いラット等では、urateの生成源となる核酸塩基及びurateの供給ルートとしてのSNBT1の役割は重要と考えられる。これに対し、血中urate濃度が高く、腸管腔への排出方向のurate輸送が重要となっているヒトでは、SNBT1介在性のurate及び核酸塩基取り込み機構は無駄な面が強く、そのために遺伝子欠損に至ったのではないかと考えられる。
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