2011 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計システムを応用した薬物誘発性うつ病を予測する評価系の構築
Project/Area Number |
22790166
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
牛島 健太郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70448843)
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Keywords | 体内時計 / 視交叉上核 / 薬物有害反応 / 転写活性 / うつ病 / 生体リズム |
Research Abstract |
平成22年度より引き続き、in vitroバイオイメージングを利用して薬物誘発性うつ病に対する効果的な薬物の検討を行った。これまでの基礎研究により、インターフェロン(IFN)はヒストンアセチル基転移酵素活性を有するCLOCK遺伝子の発現を低下させ、Per2遺伝子の転写活性ズムに異常を来たすと考えられる。そこでHDAC阻害薬を用いて検討したところ、IFNによるPer2遺伝子のリズム障害を改善することを見出した。これらの成果から、エピゲノムレベルでのうつ病薬物療法の展開が期待される。 オセルタミビルを用いた検討では、NMDA受容体が発現しているC6細胞およびNMDA受容体が発現していないNIH3T3細胞を用いて、時計機能に及ぼすオセルタミビルの影響を検討した。C6細胞において、オセルタミビルはERKや転写因子のリン酸化を促進し、Per2遺伝子の転写活性を上昇させた。しかし、オセルタミビルはNIH3T3細胞におけるPer2の転写活性に影響しなかった。NMDA受容体の発現分布は発生から成熟の過程で変化することが知られている。これらの細胞系を用いることで小児に特異的に発現する薬物有害反応を評価する予測系の構築が可能であると考えられる。 セロトニントランスポーター(5-HTT)は細胞外セロトニン濃度を調節する因子の1つであり、うつ病発症のモノアミン欠乏仮説における重要な因子である。5-HTTは中脳縫線核に最も高発現しており、マウス中脳における5-HTTの発現量は日内リズムを示す。この日内リズム形成の分子メカニズムを検討したところ、マウス中脳内5-HTT発現の日内リズムは体内時計システムの制御下にあり、activating transcript ion factor4を介して形成されていることを明らかにした。したがって、体内時計とうつ病発症が密接に関与していると考えられる。
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