2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト小型肝細胞と内皮細胞の重層化共培養による薬物代謝評価系の構築
Project/Area Number |
22790168
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
大野 まき 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (80366765)
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Keywords | 薬物代謝評価 / 小型肝細胞 / 共培養 |
Research Abstract |
ヒトにおける薬物のin vivo代謝予測にはヒト肝組織を用いる必要があるが、生体外から分離された肝細胞の薬物代謝酵素活性は分離数日後にほぼ消失する。このため、肝細胞機能をより長期間保持し、薬物代謝の評価が可能なヒト肝細胞培養系の構築が求められている。本研究では、培養した細胞をシートとして回収できる温度応答性培養皿を用いて、ヒト小型肝細胞と血管内皮細胞を3次元的に重層し、肝小葉構造を模倣した培養系を作製する。次いで、肝細胞機能や薬物代謝酵素の発現活性、薬物による酵素誘導や薬物代謝能について検討し、薬物代謝評価に有用な培養系となるか解析する。 研究項目1)ヒト小型肝細胞と内皮細胞を用いた重層化共培養の構築 凍結ヒト肝細胞を特殊条件下で培養し、増殖能をもつヒト小型肝細胞を分離培養した。小型肝細胞特異的マーカーと肝細胞特異的タンパク質の発現を免疫染色法とELISA法により調べ、小型肝細胞であることを確認した。次いで、温度応答性培養皿を用いて、ヒト血管内皮細胞をシート状に培養して回収し、この細胞を別途培養しておいたヒト小型肝細胞に重層し、重層化共培養系を構築した。 研究項目2)ヒト小型肝細胞と内皮細胞の重層化共培養における、肝細胞機能解析 研究項目1)で構築した、ヒト小型肝細胞と内皮細胞の重層化共培養において、肝細胞機能の指標であるアルブミンとα1-アンチトリプシンの分泌をELISA法により測定し、ヒト小型肝細胞単独培養と比較した。その結果、重層化共培養では、ヒト小型肝細胞単独培養に比べ、肝細胞機能が上昇している可能性が示唆された。現在は、重層化共培養における薬物代謝関連遺伝子の発現のPCRアレイを用いた網羅的解析や、薬物代謝において特に重要なシトクロムP450の活性測定の準備を行っており、薬物代謝評価に有用な培養系となるか検討を進めている。
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