2011 Fiscal Year Annual Research Report
アクロレインの細胞毒性機構に基づいた新規脳機能改善薬の探索
Project/Area Number |
22790169
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
富取 秀行 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (30337381)
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Keywords | ポリアミン / アクロレイン / 細胞毒性 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
細胞増殖必須因子であるポリアミンは蛋白質合成を促進することで細胞増殖を促進するが、酸化酵素により分解されると、毒性の高いアクロレイン及び過酸化水素を産生する。これまで脳梗塞の診断はMRI、CT等の画像診断に依存しており、有用なバイオマーカーは存在しなかった。申請者は脳梗塞のバイオマーカーとしてアクロレインが非常に優れていることを提唱および実証し、またアクロレイン除去作用を示す化合物に脳機能改善効果があることを見出した。本研究ではアクロレインの細胞毒性機構の分子レベルでの解明と、アクロレインの毒性を除去する物質の探索を行なった。 1.細胞をアクロレインに曝露した際、アクロレイン化される蛋白質としてグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)及びビメンチンを同定した。今年度はGAPDHについて詳細に解析を行い、GAPDHの活性中心であるシステインにアクロレインが付加することで、GAPDHの活性を低下させていることを見出した。また、アクロレイン化したGAPDHは核へ移行し、転写因子として働くこと、このシグナルが細胞増殖を抑制する一因であることが示唆された。 2.アクロレインの細胞毒性を除去する作用を持つ化合物として、ニンニクの成分であるアリインを見出した。今年度は生薬成分を中心にアクロレインの毒性除去作用を持つ化合物を探索した結果、塩化コプチシンとマグノロールという2種の化合物を候補として得ることに成功した。これらの化合物は構造上、アクロレインと良好に反応する官能基を持たないため、直接反応するのではなく、別の機構で明ロレインの毒性を除去している可能性が示唆された。
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[Presentation]2012
Author(s)
坂本明彦
Organizer
日本薬学会第132年会
Place of Presentation
北海道大学、札幌
Year and Date
2012-03-29
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