2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児白血病患者における代謝酵素遺伝子解析を用いた6-メルカプトプリン療法の適正化
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22790170
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田中 庸一 北里大学, 薬学部, 助教 (40525341)
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Keywords | ファーマコジェノミクス / メルカプトプリン / 小児急性リンパ性白血病 / Thiopurine S-methyl transferase / Inosine triphosphate pyrophosphatase / Methylenetetrahydrofolate reductase |
Research Abstract |
小児急性リンパ性白血病(ALL)患者における維持療法において、6-メルカプトプリン(6-MP)の投与量や治療中に発現する副作用発現に遺伝情報が関連しているかについて、6-MP代謝関連酵素の遺伝子解析と患者臨床情報から評価を行った。 研究協力施設にて小児ALL患者90例に対して、インフォームドコンセントを取得した後、Thiopurine S-methyltransferase(TPMT)、Inosine triphosphate pyrophosphatase(ITPA)、Methylene tetrahydrofolate reductase(MTHFR)の酵素活性を減弱させる一塩基多型の解析、患者臨床情報収集を行った。各遺伝子のアレル頻度は、TPMT A719Gで0.016、ITPA 94C>Aで0.191、MTHFRA C677T、A1298Cでそれぞれ0.416、0.133であった。 6-MP代謝関連酵素による小児ALL患者維持療法中の副作用として、白血球減少と肝機能障害との関連性を検討した。TPMT遺伝子変異を持つ全ての患者は白血球減少、肝機能障害を経験していた。また、ITPA 94C>A遺伝子変異の患者では、野生型に比べて有意に肝障害を経験していた。さらに、MTHFR遺伝子変異数による副作用発現との関係を解析した。その結果、MTHFR遺伝子変異を2個持つ患者では、0または1個持つ患者に比べて有意に肝機能障害を経験していた。一方で、MTHFR遺伝子変異を0または1個持つ患者では、2個持つ患者に比べて、有意に白血球減少を経験していた。このことから、MTHFR変異数は維持療法中に発現する副作用に影響を及ぼすことが考えられる。 本年度の結果より、6-MP代謝関連遺伝子の解析を行うことは、小児ALL維持療法において副作用リスクを事前に予測する因子になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者エントリーは計画では100例を予定しているが、90例に達しており、研究期間でおおむね達成できる可能性がある。遺伝子解析は6-MP代謝酵素のみならず、薬物動態に影響を及ぼす他の酵素遺伝子およびトランスポーターの遺伝子解析を行うために候補を挙げている。 しかしながら、維持療法は1~2年間行われるため、解析に用いることができない症例が存在している。
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Strategy for Future Research Activity |
6-MPの代謝酵素及びトランスポーターの遺伝子を複数組み合わせて解析し、副作用発現のリスク因子となる遺伝子型を統計的に解析し、明らかとする。 また、6-MP投与量に影響を及ぼす代謝酵素およびトランスポーターの遺伝子を統計解析により決定する。これにより、維持療法開始前に遺伝子情報から6-MP投与量設計ができるかについて検討する。 さらに、上記検討で6-MPのみでは説明できない副作用発現への影響については、小児ALL維持療法において6-MPと併用されるメソトレキサートの薬物動態へ影響を及ぼす因子についても追加検討していく。
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Research Products
(5 results)