2010 Fiscal Year Annual Research Report
胎児胎盤系の胆汁酸動態における経胎盤排泄分子機構と破綻時における胎児毒性
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22790171
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
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Keywords | 胎児胎盤系 / 血液胎盤関門 / 胆汁酸 / トランスポーター / 胎児毒性 / 肝内胆汁うっ滞症 |
Research Abstract |
ラット胎盤における胆汁酸トランスポーターの発現を定量的RT-PCRにより測定したところ、Slc10a3,10a4,10a5,10a7が発現し、一方でSlc10aファミリーに属する他の胆汁酸トランスポーターの発現は少ないことが示された。血液-胎盤関門モデル合胞性栄養膜細胞TR-TBT細胞を用い、同様にSlc10aファミリーの発現を検討したところ胎盤と同様の発現プロファイルを示した。特にSlc10a3の発現は多く、これはヒトでの知見と対応しており、ラット胎盤はヒトでの胆汁酸動態モデルとして適当であると考えられた。Slc10a3の胎盤細胞における細胞内局在を解明するため、GFPで標識したSlc10a3を作製し、HEK293細胞およびTR-TBT細胞に遺伝子導入し、蛍光顕微鏡により観察した。Slc10a3は主に細胞内に局在し、一部は細胞膜にも存在することが示唆された。胎盤における胆汁酸の動態を明らかにするため、TR-TBT細胞における経細胞輸送により胎児-母体間の胆汁酸輸送の方向性を検討した。薬物には胎児血に多く含まれる[^3H]taurocholic acidタウロコール酸を用い、胎児血側薬液から母体血側溶液へ放射標識体薬物輸送、および逆方向の輸送実験を行ったが、Slc10ファミリーの特徴とされるNa依存性は観察されなかった。Slc10a3の胆汁酸輸送活性をXenopus oocyteを用いた遺伝子発現系にて検討したが、抱合型一次胆汁酸([^3H]taurocholic acid)および二次胆汁酸([^3H]lithocholic acid)の輸送活性を示さなかった。以上より、Slc10a3はラット胎盤においても発現いるが、基質認識性が狭く胆汁酸の中でも一部の胆汁酸の生理動態に関与するのではないかと考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Differential expression of ezrin and CLP36 in the two layers of syncytiotrophoblast in rats.2010
Author(s)
Higuchi K, Iizasa H, Sai Y, Horieya S, Lee K-E, Wada M, Deguchi M, Nishimura T, Wakayama T, Tamura A, Tsukita S, Kose N, Kang Y-S, Nakashima E.
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Journal Title
Biol Pharm Bull
Volume: 33
Pages: 1400-1406
Peer Reviewed
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[Journal Article] Proton-coupled erythromycin antiport at rat blood-placenta barrier.2010
Author(s)
Sai Y, Nishimura T, Ochi K, Tanaka N, Takagi A, Tomi M, Kose N, Kobayashi Y, Miyakoshi N, Kitagaki S, Mukai C, Nakashima E.
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Journal Title
Drug Metab Dispos
Volume: 38
Pages: 1576-1581
Peer Reviewed
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