2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎児胎盤系の胆汁酸動態における経胎盤排泄分子機構と破綻時における胎児毒性
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22790171
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
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Keywords | 胎児胎盤系 / 血液胎盤関門 / 胆汁酸 / トランスポーター / 胎児毒性 / 肝内胆汁うっ滞症 |
Research Abstract |
胎児性胆汁酸の組成の特殊性と方向性輸送の生理的必要性の観点から、胎盤における胆汁酸輸送機構として胎盤特異的発現を示す能動輸送型トランスポーターに着目して、胆汁酸の胎盤透過機構の解明を行った。能動輸送型胆汁酸トランスポーターファミリー(SLC10A)の中で、SLC10A3およびSLC10A7のラット胎盤におけるmRNA発現が高いことが示された。SLC10A3およびSLC10A7は現在のところタンパクとしての機能が未知である。このことは、胎盤は小腸および肝臓など腸管循環に関与する臓器とは異なる胆汁酸輸送を示す可能性がある。胆汁酸トランスポーター発現の妊娠時期特異性を定量的RT-PCR法により調べたところ。SLC10A3およびSLC10A7の胎盤発現は妊娠時期依存性は少ないことが示され、胎児の成長過程に依存しない機構により発現調節されると推定された。さらにSLC10A3に関しては胎盤でのタンパク発現を免疫染色法により検討した。SLC10A3は血液胎盤関門において、合胞体栄養膜層に発現するP-糖タンパクと類似する細胞層に発現することが示された。このことから、SLC10A3は血液胎盤関門の実態として重要な合胞体栄養層に発現することが示された。生理的胆汁酸として存在比率が多いタウロコール酸および、胎児血中にも存在する高細胞毒性型の2次性胆汁酸リトコール酸ついてラット胎盤取り込み輸送能を解析した。しかしながら、これらの胆汁酸における胎盤輸送SLC10Aファミリーが関与するとの知見は未だ得られていない。結論として、一部の能動輸送型胆汁酸トランスポーターファミリーの血液胎盤関門での発現がタンパクレベルで明らかになった一方で、多数の抱合代謝物が存在する胆汁酸において、基質選択性の観点からさらなる検討が必要である。
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