2010 Fiscal Year Annual Research Report
SADキナーゼの下流因子が神経細胞極性化を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
22790184
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岸 将史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60573938)
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Keywords | 蛋白キナーゼ / 神経細胞極性 / 神経突起 / 軸索突起 / 樹状突起 |
Research Abstract |
成熟した神経細胞が有する神経突起のうち、樹状突起は神経電気シグナルを受容し細胞体にまで伝える役割を、逆に、軸索突起はその電気シグナルを細胞体から遠く離れた標的にまで伝播する役割を、それぞれ担っている。発生過程の若い神経細胞は、未分化かつほぼ均質な神経突起を複数伸展させた後、その中から一つだけを長い軸索突起として、また、残りを短い樹状突起として分化させるが、この神経突起の分化に伴う非対称性の形成を、神経細胞の極性化と呼ぶ。申請者は、哺乳類のシナプス形成機構を解析する目的で、線虫に於いてシナプス形成異常を呈する一変異体の責任遺伝子SADキナーゼについて、そのマウスホモログの同定と遺伝子破壊を行ったが、その過程で予期せぬことにSADキナーゼが神経細胞極性の確立に必須な分子であるという事を見出した。SADキナーゼが如何に神経細胞の極性化を制御しているのかを明らかにするため、その下流因子、基質分子を同定することを目標とし、遺伝子破壊マウスの脳組織から得られたリン酸化蛋白と野生型マウス脳から得られたリン酸化蛋白を二次元電気泳動にて比較した。その結果、あるアクチン結合分子と微小管制御因子がSADキナーゼの直接的な基質となりうることが判明したので、現在その細胞生物学的な意義を解析している状態である。抗リン酸化部位抗体の作製によって、そのリン酸化セリン残基が実際にSADキナーゼ欠損マウスの脳において減少しているのかどうかを明らかにし、その重要性を検討したい。
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