2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790187
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丁 国 神戸大学, 医学研究科, グローバルCOE研究員 (00514697)
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Keywords | 血管 / リンパ管 / 吻合 |
Research Abstract |
前年度に続き、血管とリンパ管の吻合・分離制御の機構について解析を行った。本年度は、1)Plcg2欠損マウスにおける静脈角の弁の構造、2)Plcg2ノックアウトにおけるリンパ管と血管の異常吻合部位、及び3)実験管内で、リンパ管内皮細胞における血小板の役割について詳細な解析を行った。1)については胎生11.5~15日目までのPlcg2欠損マウス胎児の冠状面切片を作製し、免疫組織染色を行った。その結果、Plcg2欠損マウスにおいて静脈角の弁は野生型と比較し、弁の長さが短いのがあったものの、野生型でもたまに見えたので個体差であると判断した。2)についてはリンパ管マーカーを用いた血管造影の方法で胎生期115.5日目においても一匹当たり3~5か所の血管・リンパ管の異常吻合がランダムに存在することを見出した。さらに皮膚のホールマウント切片を作製し調べた結果、リンパ管内皮細胞が血管内腔へ突起を伸ばしている吻合部位ではリンパ管が赤血球を含まず、一方、リンパ管が大量の赤血球を含んだ吻合部位ではリンパ管内皮細胞の突起がないことを見出した。これらの結果は、血管内に伸びてきた突起は異常吻合形成の初期に見られる現象であることを示唆する。3)についてはマウスのリンパ管内皮細胞を用いて、血小板の役割を調べた。その結果、野生型由来の血小板がリンパ管内皮細胞の増殖、遊走を阻害することを見出した。さらにリンパ管内皮細胞の糸状偽足の撤退を誘導することを見出した。これら結果により、血小板が血管内に入り込んだリンパ管内皮細胞の増殖、遊走抑制及び糸状偽足の撤退などを介して分離を維持すると考えられる。しかしながら,生体内で血小板がどうやって血管とリンパ管の吻合・分離を制御するかに関しては、さらなる解析が必要である。
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