2011 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚系の発生過程におけるニューロナルロイシンリッチリピート4遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
22790189
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
板東 高功 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00423963)
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Keywords | NLRR-4 / 嗅覚 / 細胞接着分子 / シナプス形成 / ロイシンリッチリピート / 鋤鼻器 / フェロモン受容 / 神経発生 |
Research Abstract |
成獣および発生過程の嗅覚関連組織において、NLRR4-遺伝子の発現解析を行った。成獣において、NLRR-4の発現は、嗅上皮では嗅細胞に、嗅球ではMitral cell,tufted cell layerに、嗅皮質ではpiriform cortexで認められた。発生過程の嗅上皮において、胎生14.5日(E14.5)から嗅神経細胞に発現が認められ、発生と共に増強され、成獣までその発現は維持された。嗅球では、E14.5から発現し始め、生後0日(PO)ごろにピークを迎えその後減少することが明らかにした。また、その発現はmitral cell layerとexternal granule layerの一部で認められた。また、二重染色からNLRR4発現細胞はReelinを発現しNeuNを発現していないことから、NLRR-4はmitral cellとtufted cellに排他的に発現していることを明らかとした。嗅皮質においてはE13.5からpirifrom cortexで発現し始め、発生過程において増強され、その発現は成獣においても維持されることを明らかにした。また、NLRR-4はプェロモン受容体V2Rを発現する鋤鼻器の上皮細胞にも発現が認められた。さらに、NLRR-4遺伝子欠損マウスにおける行動解析から、NLRR-4遺伝子欠損マウスは攻撃性の低下を認めている。さらに、野生型マウスは、雄マウスの尿をしみ込ませた綿棒対して噛みつきなどの攻撃様の行動を示すのに対し、NLRR-4遺伝子欠損マウスは、雄マウスの尿をしみ込ませた綿棒から回避する行動をとることが明らかになった。したがって、現在までに明らかとなっている海馬や末梢神経形成の機能のみならず、嗅覚系の発生およびフェロモン受容においても重要な役割を担っている可能性を示唆した。
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