2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクアポリン2のリン酸化と細胞内分布および細胞内移送に関する解析
Project/Area Number |
22790191
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松崎 利行 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30334113)
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Keywords | 水チャネル / アクアポリン2 / リン酸化 / 腎臓 / 特異抗体 |
Research Abstract |
バソプレッシンは、腎臓の水チャネルであるアクアポリン2の細胞内分布を変化させ、水の再吸収量を調節する。本研究の目的は、バソプレッシンによる、アクアポリン2のリン酸化が、細胞内分布・細胞内移送を調節するメカニズムを解明することである。22年度は、アクアポリン2の4つのリン酸化部位のうち、256番目のセリンのリン酸化を認識する抗体を作製した。抗体の作製には抗原として合成ペプチドを用い、ウサギに免疫したが、得られた血清にはリン酸化フォームを認識する抗体と非リン酸化フォームを認識する抗体が含まれることが判明した。そこで、ペプチドカラムを用いてアフィニティー精製をおこない、得られた抗体の特異性を慎重に検討した。その結果、256番目のセリンがリン酸化されたアクアポリン2を特異的に認識する抗体が得られた。23年度以降にこの抗体を用いて解析を進めることとした。また、アクアポリン2のリン酸化と細胞内分布・細胞内移送に関しての解析を、培養細胞系でもおこなうために、アクアポリン2遺伝子を、腎臓由来の培養細胞であるLLC-PK1細胞に導入し、安定的に発現した細胞を得た。この細胞も23年度以降の解析で用いることとした。 22年度は、アクアポリン2のほかに、同じ水チャネルのアイソフォームであるアクアポリン4とアクアポリン5の、下垂体における分布局在に関して詳細な検討をおこなった。この結果、アクアポリン4が下垂体前葉の濾胞星状細胞に発現することをみつけ、濾胞星状細胞が前葉内での水移動に関与するという新たな可能性を示唆することができた。またアクアポリン4とアクアポリン5は、ラトケ遺残腔に面する辺縁上皮細胞にも分布することが判明した。これらの成果は学会等で発表し、学術雑誌に投稿準備中である。
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