2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790193
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
向後 晶子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (20340242)
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Keywords | 心臓 / 神経堤細胞 / Dlg1 / ノックアウトマウス / 発生 / 心室中隔欠損 / 心臓流出路 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
我々は過去の研究課題において、Dlg1遺伝子ノックアウトマウスで心室および心臓流出路の中隔形成に異常をきたすことを見出した。このことから、Dlg1ノックアウトマウスでは心臓流出路の中隔の主要成分である心臓神経堤細胞の発生過程に何らかの異常が生じていることが推測された。そこで、神経堤細胞がGFP蛍光標識されるDlg1遺伝子ノックアウトマウスを作成し、これを用いて上記の仮説を検証することを第一の目的として本研究を計画した。今年度、目的の蛍光標識Dlg1遺伝子ノックアウトマウスの胎仔を得るための計画交配をすすめ、胎生11.5日~18.5日の胎仔を得て心臓流出路部分の神経堤細胞を観察した。すると、一部のDlg1遺伝子ノックアウトマウスでは、心臓領域の神経堤細胞量が明らかに減少していた。しかし、大半のDlg1遺伝子ノックアウトマウスでは、神経堤細胞遊走の時期および量に明らかな異常は認められなかった。過去の知見から、流出路や心室の中隔形成不全の原因のひとつに、心臓神経堤細胞の遊走障害があることが知られている。しかし、心室中隔欠損が、Dlg1遺伝子ノックアウトマウスの約70%の個体で発症することを考えると、この異常が神経堤細胞の遊走障害だけに起因するとは考えにくい。一方、Dlg1遺伝子ノックアウトマウス発生初期の心臓流出路における神経堤細胞の分布は、野生型マウスと比較してやや乱れているという傾向が見られた。以上の結果は、Dlg1が心臓神経堤細胞、ひいては周辺領域の細胞集団において、より新しい発生調節機能を担う可能性を示唆するものと考えている。
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Research Products
(7 results)