2010 Fiscal Year Annual Research Report
頸は頭か胴体か? ?発生、進化から頸部の解剖学的理解を求めて?
Project/Area Number |
22790196
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長島 寛 独立行政法人理化学研究所, 形態進化研究グループ, 研究員 (40435665)
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Keywords | 頭部 / 体幹 / ニワトリ-ウズラキメラ / 神経堤 |
Research Abstract |
脊椎動物の体は大まかに頭部と体幹とに分けることができる。すなわち頭部では外胚葉性の頭部神経堤が結合組織を作り、その腹側では複数の咽頭弓が分節的に配置しており、それぞれの咽頭弓を満たす神経堤からは顎、舌骨などの鰓弓骨格が形成され、また中胚葉起源の筋を臓性の末梢神経が支配している。一方、体幹においては中胚葉が結合組織を作り、その中にやはり中胚葉性の骨格と筋が発生し、これらは体性末梢神経によって支配されている。本研究ではまず発生学的な頭部の後方境界を観察するため、10体節期のニワトリ初期胚に、同じ発生段階のウズラ初期胚の神経管背側の領域を交換移植した。孵卵一日後、Hamburger-Hamiltonステージ17(HHステージ)で固定し抗ウズラ抗体でホールマウント免疫組織化学染色を行い、ウズラ細胞の分布を観察した。その結果、第一体節、第二体節の脇の背側神経管領域を交換した場合に、間葉状のウズラ細胞、すなわち頭部神経堤細胞が咽頭弓後縁を回り込むように分布していた。またHHステージ17で移動性筋原基の分布をin situハイブリダイゼーションによって観察したところ、筋原基は上記の咽頭弓後方の領域を移動していた。筋原基の移動ルートを詳細に解析するため、ニワトリ-ウズラ頭部神経堤交換キメラを作成し、隣接する組織切片でウズラ細胞の分布と、移動性筋原基の分布を調べ、それらを三次元復興したところ、移動性の筋原基は神経堤細胞で満たされた咽頭弓後縁の領域を選択的に移動していることが分かった。これらの結果は、体幹要素である体節に由来する筋が頭部の領域で発生することを占めていた。今後、これら頭部神経堤の領域と移動性筋原基から作られる筋の動態を発生を追って観察してゆく。
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