2011 Fiscal Year Annual Research Report
心肥大形成メカニズムにおける新規カルシウム流入経路の解明
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22790199
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大場 貴喜 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80431625)
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Keywords | 心肥大 / カルシウム |
Research Abstract |
心肥大形成の新規分子メカニズムを解明することが本研究の目的である.前年度は圧負荷による心肥大がSTIM1ノックアウトマウスでは野生型に比べがおきにくく,生存率が高くなる性質があることがわかったため,平成23年度は大動脈縮窄手術をおこなった野生型とSTIMIノックアウトマウスからそれぞれ心臓を摘出し,DNAマイクロアレイによって左室心筋において,マウス全遺伝子によるゲノムワイドスクリーニングをおこなった.圧負荷をかけた野生型マウスの左心室心筋では,心肥大や心不全の指標であるBNHANFの発現量が増加していたこととともに,ミオシン重鎖遺伝子が胎児型にスイッチしていた.肥大反応で生成される活性酸素を分解するSODIが増加していた.またこれらの反応はSTIM1ノックアウトマウスでは抑制されていた.DNAマイクロアレイの結果から,確かに圧:負荷による心肥大は野生型で起きているが,ノックアウトマウスでは心肥大が抑制されていることが確認できた.さらには,圧負荷をかけたSTIMIノックアウトマウスの心筋では心筋線維化も抑制されていたが,この原因としてTIMP4というマトリックスメタロプロテアーセの内因性抑制因子が増加していることを見出した.TIMP4の下流で働くMMP2の活性が抑制されていることから,STIMIノックアウトマウスでは圧負荷で誘導されるTIMP4がMMP2を介して心筋リモデリングを抑制している可能性を見出した.以上から,心肥大形成にとってSTIM1が必須であり,その減少は心肥大の抑制につながるが,この機序には心筋線維化の抑制が関与していることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は心肥大形成機序を解析することであり,STIM1ノックアウトマウスの心筋を用いて心筋肥大および心筋リモデリングのメカニズムの一部を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
心筋肥大および心筋リモデリングのメカニズムをより詳細に解析し,細胞レベルおよび生体での心肥大治療の基礎を作る.
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