2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790200
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中川 祐子 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (90422500)
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Keywords | シグナル伝達 |
Research Abstract |
インスリンは糖代謝を調節するもっとも重要なホルモンで、その作用不全は糖尿病を招来する。インスリン分泌を調節する最も重要な因子はグルコースで、その作用機構に関してはこれまで多くの研究がなされてきた。現在、一般に認められている定説では、グルコースはGlut2を介して細胞内に取り込まれ、解糖系により代謝される。このとき産出されたATPあるいはATP/ADPの濃度比が増加することでATP感受性K^+チャネル(K_<ATP>チャネル)が抑制され、脱分極が起きる。これにより電位依存性Ca^<2+>チャネル(VDCC)が活性化され細胞内Ca^<2+>が上昇する。これがインスリン顆粒の開口放出を引き起こす。この他にもK_<ATP>チャネルを介さない経路の存在が明らかになるなどいまだ明らかでない点も少なくない。 申請者はこれまでβ細胞における甘味受容体のシグナル伝達を検討し、細胞内Ca^<2+>の二相性の上昇とcAMPの持続的な上昇およびPKC活性化が起きることを明らかにしてきた。これらのメッセンジャー産生の分子基盤、具体的には関与するG蛋白、イオンチャネルの同定、シグナル伝達経路の詳細を検討する。次に、甘味受容体シグナルがグルコース作用に関与するかを、受容体アンタゴニストの投与、受容体やG蛋白のノックダウンなどにより検討した。その結果、甘味受容体のコンポーネントであるT1R3をノックダウンすることにより、グルコース誘導性のインスリン分泌が低下した。
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