2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 大樹 京都大学, 生理化学研究ユニット, 特定講師 (40467428)
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Keywords | TRICチャネル / 小胞体 / 高血圧 / 心肥大 / 循環機能 |
Research Abstract |
申請者グループにて同定された小胞体TRICチャネルは、Ca^<2+>放出に連動して機能するK^+透過性のカウンターイオンチャネルである。2つのサブタイプのうちTRIC-Aを欠損するマウスでは、高血圧、徐脈、心肥大といった循環器系異常が観察された。本年度は、心肥大の発症メカニズムについて究明した。 TRIC-A欠損マウス(A-/-)に対して60mg/kg/dayのイソプロテレノール(Iso)を2週間持続投与すると、野生型マウス(WT)に比べて顕著な心重量/体重比の増加に加えて心筋細胞断面積の増大も観察された。さらには心エコーでの左室壁肥厚も確認された。そこで心肥大発症機序を詳細に検討するため、新生児心筋細胞を単離・培養してIsoによる心筋細胞肥大を検討した。しかし顕著な肥大は観察できなかった。これは成獣と新生児マウス心臓においてリアノジン受容体やホスホランバンなどCa^<2+>シグナリングに関わる分子のリン酸化レベルの差異が原因であると推測された。次に成獣マウスにおいて対照として生理食塩水を投与したWT、A-/-を加えた4群の心臓からRNAを抽出し、マイクロアレイによるRNA発現解析を行った。Iso刺激によりWTとA-/-の間で大きく発現量が変化したものの中に心肥大に関わる因子はなかった。βMHCなどの心肥大マーカー発現量はA-/-Iso刺激群で顕著に増加していなかった一方で、コラーゲンやペリオスチンなどの線維化マーカー発現量がA-/-Iso刺激群で顕著に増加していた。また、心重量/脛骨長比ではWTとA-/-でほとんど変化なしという結果を得た。従って、Isoによる持続刺激はA-/-心臓において、緩やかな心肥大に加えて顕著な線維化を誘発させることが明らかとなった。 A-/-におけるIso刺激は心肥大に比べて顕著な線維化を引き起こすことを明らかにした。線維化発症メカニズムの解明には至らなかったが、顕著な線維化は心肥大に比べて心臓のポンプ機能を低下させる現象であり、この発症機序の解明は心筋梗塞や虚血再灌流後の心臓線維化メカニズムにも通じると期待される。今後、Iso誘発性線維化メカニズムについて詳細な検討を行っていく予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] TRIC-A Channels in Vascular Smooth Muscle Contribute to Blood Pressure Maintenance2011
Author(s)
Yamazaki D, Tabara Y, Kita S, Hanada H, Komazaki S, Naitou D, Mishima A, Nishi M, Yamamura H, Yamamoto S, Kakizawa S, Miyachi H, Yamamoto S, Miyata T, Kawano Y, Kamide K, Ogihara T, Hata A, Umemura S, Soma M, Takahashi N, Imaizumi Y, Miki T, Iwamoto T & T
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 14
Pages: 231-241
DOI
URL
Peer Reviewed
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