2011 Fiscal Year Annual Research Report
食細胞によるアポトーシス細胞貪食除去の動作原理の解明
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22790210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
華山 力成 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (40403191)
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Keywords | アポトーシス / マクロファージ / TIM4 / MFG-E8 |
Research Abstract |
アポトーシスは、生体にとって不要になった細胞や有害となる細胞を除去する生理的な細胞の死である。アポトーシスにより死滅した細胞は、ホスファチジルセリンと呼ばれる細胞膜のリン脂質を細胞外に提示し、これをマクロファージなどの食細胞が認識して貧食除去する。私たちは以前、マクロファージから分泌されるMFG-E8や、マクロファージ上の蛋白質TIM4が、このホスファチジルセリンと結合することにより、マクロファージによるアポトーシス細胞の貧食を促進することを見出した。ところが、これらの分子がどのように協調的に働き、貧食を促進しているのかは分かっていない。よって本研究では、これらの分子が、どのような動作原理を介してアポトーシス細胞の貧食を促進するかを明らかにすることを目標にしている。私達はまず、マクロファージによる貧食を、本来食食能のない細胞を用いて再構築できるかを試みた。未分化B細胞株であるBaf3細胞は、TIM4を過剰発現させると、アポトーシス細胞と非常に効率よく結合するが、アポトーシス細胞を取り込むことができないことが示された。次にこの細胞にMFG-E8とその受容体であるインテグリンを発現させると、アポトーシス細胞の取り込みが効率よく促進されることを見出した。この取り込みは、インテグリンの下流シグナルであるDock180やRac1を発現させることにより、さらに促進することが明らかになった。以上の結果から私たちは、本来アポトーシス細胞を貧食できないBaf3細胞にこれらの分子を発現させることによって、マクロファージによる貧食を完全に再構築することに成功した。また、Tim4はアポトーシス細胞を繋ぎ止めるが取り込むことができず、Tim4により繋ぎとめられたアポトーシス細胞が取り込まれる為には、MFG-E8とインテグリンが必要であることを見出し、アポトーシス貪食の動作原理は「繋ぎとめ」と「取り込み」の2段階であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちは、食細胞によるアポトーシス細胞貧食除去の動作原理が、TIM4による繋ぎ止めとMFG-E8による取り込みの2段階であることを見出した。このような動作原理の解明はこれまで報告がなく、本研究分野に新たな概念を提示することに成功した。また、以上の結果をMolecular and Cellular Biology誌に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2段階によるアポトーシス細胞の取り込み機構が、生体内においても成り立つかを検討する。私たちは以前、MFG-E8欠損マウスの脾臓胚中心でアポトーシスを起こしたB細胞がマクロファージに取り込まれず、マクロファージの細胞表面上に結合したまま留まっていることを見出している。よって、TIM4の欠損マウスにおいて、このように留まったアポトーシス細胞の数が減少しているかを検討する。
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Research Products
(2 results)