2011 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性プロトンチャネルによるNADPHオキシダーゼの活性制御の解明
Project/Area Number |
22790212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大河内 善史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90435818)
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Keywords | 電位依存性プロトンチャネル / NADPHオキシダーゼ / 活性酸素 / 貪食細胞 |
Research Abstract |
電位依存性プロトンチャネルVSOPはNADPHオキシダーゼの活性制御を介して活性酸素の産生を制御する分子である。我々は、VSOPノックアウトマウス(VSOP-KO)マウスの好中球では、NADPHオキシダーゼが作る活性酸素の元となるスーパーオキシドアニオンの産生量、スーパーオキシドアニオンとプロトンの反応により作られる過酸化水素の産生量が低下していることを報告してきた。過酸化水素はミエロパーオキシダーゼ(MPO)の働きにより次亜塩素酸に変換されることから、VSOP-KOマウスの好中球では、次亜塩素酸の産生量も低下していると予想されたが、意外にもその産生量は野生型よりも高いことが分かった。この実験結果を裏付けるために、細胞内外のMPOの量をペルオキシダーゼ基質であるo-ジアニシジンを用いて測定した。その結果、細胞内のMPOの量は野生型とVSOP-KOマウス間で差がないことが分かった。一方で、細胞外に分泌されたMPOの量はVSOP-KOマウスの好中球において有意に高いことが明らかになった。すなわち、VSOP-KOマウスの好中球では、細胞外に分泌されたMPOの量が野生型よりも多いために、次亜塩素酸の産生量が増えていると考えられる。MPOの分泌量が多いという事実は、MPOを含む顆粒(アズール穎粒)の脱顆粒が亢進している可能性を示唆した。この顆粒に含まれる他の酵素エラスターゼについても調べた結果、VSOP-KOマウスの好中球では、野生型よりもエラスターゼ活性が高いことが分かった。つまり、VSOP-KOマウスの好中球では、アズール顆粒の脱顆粒が亢進していることが示唆された。以上より、VSOPは、1)NADPHオキシダーゼの活性を制御するだけでなく、アズール顆粒中に含まれるMPOの量を制御することで活性酸素の産生量を制御している、2)アズール顆粒に含まれる他の分解酵素の分泌量も制御していると考えられる。
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