2010 Fiscal Year Annual Research Report
Cdkal1による2型糖尿病の発症メカニズムの解析
Project/Area Number |
22790214
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
魏 范研 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (90555773)
|
Keywords | 2型糖尿病 / インスリン / β細胞 |
Research Abstract |
Cdkal1は2型糖尿病の新規危険因子である。Cdkal1遺伝子変異による2型糖尿病発症メカニズムを明らかにするために、当該年度において以下の研究を実施した。 (1)膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスの作製:マウスCdkal1遺伝子の第五エキソンの両側にLoxP配列を持つトランスジェニックマウスと、ラットインスリンプロモーターによって支配されるCre遺伝子を持つトランスジェニックマウスと交配することにより、膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスを作製した。 (2)膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスの耐糖能の検討:計画(1)で作製したCdkal欠損マウスは、野生型マウスと同程度の体重であった。また、Cdkal1欠損マウス及び野生型マウスの膵臓を固定し、抗インスリン抗体を用いて免疫染色した結果、膵臓β細胞の形態は両者において差が認められなかった。Cdkal1欠損マウスが5週齢、10週齢、20週類に達した時に、ブドウ糖負荷試験を行った。その結果、野生型マウスと比べ、Cdkal1欠損マウスの耐糖能が低下していた。また、ブトウ糖を負荷時の血中インスリン濃度を測定した結果、Cdkal1欠損マウスにおけるインスリン分泌が野生型マウスより有意に低下していた。さらに、ランゲルハンス島を精製し、試験管内でブドウ糖刺激を行い、インスリン分泌を測定した。その結果、Cdkal1欠損マウス由来のランゲルハンス島から分泌されるインスリンは、野生型マウス由来のランゲルハンス島から分泌されるインスリンより有意に少なかった。 以上の結果から、膵臓特異的Cdkal1欠損マウスにおいて、膵β細胞の形態は正常であったが、ブドウ糖刺激によるインスリン分泌が低下した結果、耐糖能異常が生じたことが分かった。これらの表現型は、Cdkal1変異を持つヒトの病態と類似しているため、Cdkal1欠損マウスはCdkal1変異に起因する2型糖尿病研究に極めて有用であることが分かった。
|