2010 Fiscal Year Annual Research Report
迷走神経求心路によるホルモン感受の細胞分子機構と摂食行動への連関
Project/Area Number |
22790218
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 有作 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (60528420)
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Keywords | nodose ganglion / 迷走神経 / インスリン / 細胞内Ca^<2+> / インスリン受容体 / 逆行性トレーサー / 膵臓 / CART |
Research Abstract |
食事前後で分泌変動する末梢ホルモン、特にインスリンの求心性迷走神経に対する直接作用を、fura-2蛍光画像解析法による細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)測定により評価した。 インスリン(10^<-12>~10^<-7>M)は、マウス求心性迷走神経細胞(Nodose Ganglion Neurons,NGN)の[Ca^<2+>]_i、を上昇させた。この[Ca^<2+>]_i上昇は細胞外Ca^<2+>除去やN-及びL-type Caチャネル阻害剤存在下で著しく減少した。NGNにインスリン受容が発現していることを免疫組織化学法により初めて明らかとした。インスリン受容体の下流シグナル分子であるinsulin like substrate 2のノックアウトマウス由来NGN、そしてPI3キナーゼ阻害剤存在下でインスリン誘発[Ca^<2+>]_i上昇は有意に減少した。従って、インスリンはインスリン受容体シグナル経路によりNGNの脱分極を誘導し、電位依存性Caチャネルを介した細胞外からのCa^<2+>流入によって[Ca^<2+>]_iを上昇させることが判明した。 予め逆行性蛍光トレーサーを膵臓に投与し膵支配迷走神経を標識したマウスからNGNを単離し、[Ca^<2+>]_iを測定した。標識されたNGNは非標識のNGNと比較し約3倍高頻度でインスリンに応答し、インスリンは膵臓を支配する求心性迷走神経に高頻度に作用する事が明らかとなった。 NGNはcocaine- and amphetamine-regulated transcript(CART)を多く含有する。本研究では、上記Ca^<2+>測定後免疫細胞染色をし、[Ca^<2+>]_i応答を示した細胞におけるCARTの含有率を調べた。インスリンに応答するNGNの約半数がCART免疫陽性反応を示し、インスリン刺激による求心性迷走神経から延髄弧束核に伝達される物質の一つとしてCARTを同定した。
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