2011 Fiscal Year Annual Research Report
迷走神経求心路によるホルモン感受の細胞分子機構と摂食行動への連関
Project/Area Number |
22790218
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 有作 自治医科大学, 医学部, 助教 (60528420)
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Keywords | nodose ganglion / 迷走神経求心路 / インスリン / グレリン / GLP-1 / 膵ポリペプチド / ペプチドYY / グルコース |
Research Abstract |
摂食調節性末梢因子(摂食抑制:インスリン・膵ポリペプチド(PP)・GLP-1・PYY_<3-36>、摂食亢進:グレリン・低濃度グルコース)の迷走神経求心路への直接作用を、fura-2蛍光画像解析法による求心性迷走神経細胞(Nodose ganglion neurons:NGN)の細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)測定にて評価した。(1)昨年度インスリンのNGNへの作用を明らかにし、今年度はこの作用をGLP-1が増強し、グレリンが抑制することを発見した。GLP-1はインスリン分泌と同調して分泌され且つインスリン分泌を増強させ、一方、グレリンはインスリン分泌と相反して分泌し、インスリン分泌を抑制する。従って、GLP-1やグレリンはインスリンの分泌だけでなく迷走神経へも協働して作用する事を明らかとした。(2)食後分泌亢進する摂食抑制性NPYファミリーペプチドであるPPとPYY_<3-36>が単一NGNの[Ca^<2+>]_iを上昇させることを発見し、特に、PPはPYY_<3-36>より約100倍低濃度で作用する強力な効果であった。(3)摂食亢進性末梢因子として、低濃度グルコース(≦2.8mM)やグレリンで[Ca^<2+>]_iを上昇させるNGNを発見し、低濃度グルコース応答ニューロンのほとんどがグレリンに応答することを発見した。さらに、これら摂食亢進性因子で活性化させるNGNは摂食抑制性因子で活性化されるNGNと異なることを見出し、これら両因子は異なる迷走神経から中枢に伝達されていることを証明した。 迷走神経から延髄孤束核へ伝達される神経伝達物質を同定するために、数種の神経伝達物質抗体を用いてNGNの免疫細胞染色を実施し、[Ca^<2+>]_iとの組み合わせによる応答ニューロンの細胞特徴同定法を確立した。さらに、マウス第4脳室へのカニューレッション及びその後の摂食実験の実験技法を確立させた。
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