2010 Fiscal Year Annual Research Report
一分子蛍光観察によるKCNQ1-KCNE複合体構成の状況依存的変化の検出
Project/Area Number |
22790223
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中條 浩一 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教 (80390699)
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Keywords | 生理学 / イオンチャネル / 電気生理学 / カリウムチャネル / 分子生物学 / 光生理学 / 不整脈 / 心筋 |
Research Abstract |
多くのイオンチャネル、トランスポーター、ポンプ等の生体膜輸送分子には、輸送の中心となる分子(αサブユニット)に加え、その機能を補助したり、あるいは膜輸送分子の機能を制御したりする補助的な分子(βサブユニット等)が存在する。不整脈の原因遺伝子としても知られる電位依存性カリウムチャンネルαサブユニットKCNQ1はその代表的なものの一つで、補助サブユニットKCNE1によってその性質を大きく変化させ、心筋の興奮性の制御に大きな役割を果たしている。KCNQ1とKCNE1のサブユニット数の量比は長い間議論されてきたが、今回一分子レベルでの蛍光観察を行い、一つのKCNQ1-KCNE1複合体中に含まれるそれぞれの分子数を直接数えることに成功した。具体的にはKCNQ1分子あるいはKCNE1分子に緑色蛍光タンパク質GFPを結合させ、一分子レベルのGFP退色イベントを観察することにより、サブユニット数を決定した。従来KCNQ1とKCNE1のサブユニット比は4:2で固定されているものと考えられていたが、今回の成果により、KCNQ1四分子に対し、KCNE1の分子数は1~4とフレキシブルであることがわかった。結合するKCNE1の分子数によって、KCNQ1の電気生理学的性質も変化するため、両者の結合比の制御が、心筋の興奮性を制御するあらたなメカニズムである可能性が考えられる。不整脈発生のメカニズムを考えるための心筋のモデルを考える上でも、重要な知見になりうる。
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Research Products
(6 results)