2011 Fiscal Year Annual Research Report
一分子蛍光観察によるKCNQ1-KCNE複合体構成の状況依存的変化の検出
Project/Area Number |
22790223
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中條 浩一 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教 (80390699)
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Keywords | 生理学 / イオンチャネル / 電気生理学 / カリウムチャネル / 分子生物学 / 光生理学 / 不整脈 / 心筋 |
Research Abstract |
22年度までに、KCNQ1とKCNE1のストイキオメトリーは固定されたものではなく、両者の細胞膜発現密度の比に応じて、フレキシブルに変わりうるということを見出した。これは細胞膜上で両サブユニットがダイナミックに結合解離していることを示唆している。23年度は、膜電位を変化させることによりストイキオメトリーが変化するかどうかについて、評価を行った。高カリウム外液を用いて、KCNQ1とKCNE1を発現しているアフリカツメガエル卵母細胞を脱分極させてみたが、ストイキオメトリーの分布に有意な差は認められなかった。このことは、高カリウム外液による脱分極では細胞膜電位はせいぜい0mVであるのに対し、KCNQ1+KCNE1チャネルを十分に活性化させるには+20mV以上の高い電位が必要であることが原因であるかもしれない。今後は膜電位固定法によってさらに高電位に長時間固定したさいにストイキオメトリーの変化が生じるかを検証する必要がある。 一方、KCNE1-KCNQ1-KCNQ1タンデムコンストラクト(4:2のストイキオメトリーを生じる)を作成し、KCNE1-KCNQ1間のリンカーの長さをさまざま(18-300アミノ酸長)に変えてみたところ、リンカーの長さが長くなるほど、活性化のキネティクスがより遅くなることを見出した。これは間接的な証拠ではあるものの、KCNQ1とKCNE1の複合体構成が細胞膜上で変わりうることを示すデータであると考えられる。今後一分子蛍光観察を用いたストイキオメトリーの計測と併せることで、複合体形成のダイナミクスの検出とそのメカニズムの理解に向けて極めて重要な知見になると考えられる。
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Research Products
(6 results)