2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790227
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松崎 健太郎 島根大学, 医学部, 助教 (90457185)
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Keywords | 暑熱馴化 / 神経新生 / 視床下部 / 体温調節 |
Research Abstract |
これまでに我々は長期暑熱馴化が形成されたラットの視床下部では神経前駆細胞の分裂と分化が促進されていることを見出した。暑熱暴露により新生した神経細胞は前視床下部/視索前野や視床下部背内側核、視床下部腹内側核などに多く発現していた。23年度は、長期暑熱馴化したラット視床下部で新生した神経前駆細胞の神経性分化、熱刺激への応答性を解析した。さらに、暑熱暴露による神経新生を阻害した場合に暑熱馴化が形成されるか否かを検討し、新生した神経細胞の暑熱馴化形成への関与について検討した。Wistar系雄性ラット(5週齢)を明暗周期12:12時間、自由摂食・摂水下、環境温24℃で2週間飼育した後、32℃の暑熱環境に暴露した。暴露開始直後からBromodeoxyuridine (BrdU ; 50mg/kg/day)を腹腔内へ5日間連続投与した。また、ラット脳室内には細胞分裂阻害薬Cytosine-β-arabinoside (Ara-C ; 2% in saline)を持続的に投与した。40日間の暑熱暴露による長期暑熱馴化形成後に耐暑熱性の確認を行った。その後、ペントバルビタール麻酔下でラット脳を摘出し免疫組織学的な解析を行った。視床下部で新生した細胞のうち、約16%がGABA作動性神経細胞マーカーで染色され、約11%がGlutamate作動性神経細胞マーカーにより染色された。また、Ara-Cを脳室に持続投与し、神経新生が阻害されたラットでは、Vehicle投与ラットに比較して耐暑熱性が減弱する傾向を示した。さらに、新生した細胞の一部は神経活性のマーカーであるc-Fos二重陽性を示した。以上の結果より、暑熱暴露により新生した神経細胞が長期暑熱馴化形成時の体温調節機能の向上に関与する可能性が示唆された。
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