2011 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類中枢時計特異的な入力機構の解析―視交叉上核スライス培養を用いた検討―
Project/Area Number |
22790234
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 助教 (10340770)
|
Keywords | 生物時計 / 視交叉上核 / cAMP / Forskolin |
Research Abstract |
本研究の目的は、哺乳類生物時計の中枢である視交叉上核内の領域特異的な入力応答を解析することである。平成23年度は、当初の計画通り視交叉上核背内側部と腹外側部の入力応答性を前年度に引き続いて検索した。Per2プロモーターの制御下でルシフェラーゼを発現するトランスジェニックラットを用い、視交叉上核の組織切片とそれをさらに背内側部・腹外側部のみに単離した3種類の切片を作製し、トランスクリプトーム解析から明らかになった視交叉上核内のシグナル分子候補であるCGRPを作用させた際に生じる位相反応を発光により測定した。様々な位相においてCGRPを作用させることで位相反応曲線を作成したが、3種類の切片それぞれにおいて明瞭な位相依存的な位相変異は観察されなかった。続いて、局所的な入力応答を調べるために以下の実験を行った。神経ペプチドVIPやCGRPのシグナルは細胞内のcAMP濃度を上昇させることが知られている。そこでcAMPの情報伝達系を調べるために、cAMPシグナルを活性化するForskolinを継続的に添加し、シグナルを恒常的に賦活化することを試みた。興味深いことにForskolinの添加によるcAMPレベルの恒常的な上昇は視交叉上核内の脱同期を生じた。視交叉上核背側の最内側領域の周期は24時間未満であったのに対し、腹外側部の領域は24時間以上の周期を示した。このことから視交叉上核内には異なる周期を持つサブ領域が存在することが明らかになり、それらはcAMPによる同期シグナルによって同期していることが考えられた。また視交叉上核においてはPer遺伝子の発現のピークが内側から外側に向かって移動する位相波として特徴的に観察されるが、今回明らかになった短周期領域は位相波の起点とオーバーラップしていることから位相波形成においても重要な領域であることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)