2010 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動と睡眠時無呼吸:呼吸リズムからの心房細動発生機序の検証
Project/Area Number |
22790235
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
増宮 晴子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30286744)
|
Keywords | 心房細動 / 睡眠時無呼吸 / 生体リズム |
Research Abstract |
心疾患である心房細動(AF)や呼吸器疾患である睡眠時無呼吸(SAS)は異なる臓器の疾病である。しかしAFやSASの背後には交感神経系/副交感神経系のバランスの崩れといった共通点や、AFの発生頻度がSASの重症度に依存するという報告から、両者には何らかの病因学的な関連があると推測されてきた。しかし両者の因果関係は明確に示されていない。本研究は循環動態を一定に保ちながら、中枢側(延髄の呼吸ニューロンの活動)と効果器側(心臓、血管、呼吸活動)の同時記録が可能なin situ標本を用いて、副交感神経系を刺激したときの延髄の呼吸ニューロンの活動変化と、その結果生じる呼吸リズムや心拍動リズムの変化を比較・検討し、心房細動の発生と呼吸活動の変化との関連を電気生理学的に検証することを目的とした。 本研究期間は(1)延髄の呼吸ニューロンの活動が変化した場合の効果器側への影響、すなわち心拍や呼吸リズムがどのように変化するか、と心房細動発生の有無の検討(2)副交感神経刺激が及ぼす心拍や呼吸リズムへの影響に関する実験が中心となった。(1)は延髄の呼吸ニューロンの活動変化を惹き起こす方法として心拍出量の変化、具体的には対外循環によって全身灌流させている灌流液の流量を変化させることで、呼吸ニューロンの活動の変化を検討した。また効果器側の灌流圧、心拍数、呼吸数の変化も、同時に記録した。灌流量を増加させた場合、呼吸ニューロンの活動は、その活動間隔は短くなる傾向がみられ、心拍数や呼吸数、灌流圧は増加し、時には呼吸性不整脈と思われる不整脈が観察された。次年度は灌流量を減少させた場合について、検討する予定でいる。(2)は副交感神経刺激で心拍や呼吸リズムは不規則となり、また灌流圧の上昇傾向が観察された。しかし心房細動の発生は観察されなかった。次年度は(1)の続きを中心に研究を進める予定でいる。
|