2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790237
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大石 勝隆 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (50338688)
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Keywords | 行動学 / 生理学 / 遺伝子 / 発現制御 |
Research Abstract |
哺乳類の体内時計制御におけるFGF21の関与を明らかにする目的で、Fgf21遺伝子の発現制御及び欠損マウスを用いた体内時計機能の解析を行った。 肝臓は、FGF21の主要な産生臓器として考えられており、Fgf21遺伝子の発現は、核内受容体であるPPARαによってポジティブに転写調節されていることが知られているが、ヒト及びマウス由来の培養肝細胞を用いた解析により、PPARγの特異的リガンドであるロシグリタゾンやピオグリタゾンによってもその発現が顕著に誘導されることが判明した。マウス個体を用いた検討からも、PPARαのリガンドであるベザフィブラートのみならず、ピオグリタゾンによる発現誘導が確認された。脂肪肝においては、PPARγの発現量が増大することが知られており、PPARαとともにPPARγがFGF21の発現制御に関与しているものと思われる。 Fgf21遺伝子欠損マウスを用いて、行動リズムに対する影響を検討したが、恒暗条件下における活動周期には特に影響が認められなかった。給餌性のリズム形成機構におけるFGF21の関与を調べる目的で、本来の休息期である明期の特定時間帯に給餌を行ったところ、給餌に対する予知行動にも特に影響は認められなかった。末梢組織に存在する末梢時計に対するFGF21の関与を明らかにする目的で、自由摂餌下及び制限給餌下における時計遺伝子の発現を、肝臓及び白色脂肪組織において検討した。肝臓での時計遺伝子発現には大きな影響が認められなかったものの、脂肪組織におけるPer1及びPer2遺伝子の日周発現は、自由摂餌下、野生型マウスとFgf21遺伝子の欠損マウスで大きく異なっており、Per1が、Per2ともに、発現位相の前進及び振幅の増大が認められた。受容体の発現分布などから、脂肪組織がFGF21の標的組織である可能性が指摘されており、脂肪組織での時計遺伝子発現にFGF21が何らかの役割を担っている可能性が考えられる。
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