2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス時の交感神経亢進が卵巣の機能と組織に及ぼす影響
Project/Area Number |
22790238
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
内田 さえ 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90270660)
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Keywords | ストレス / 卵巣ホルモン / 交感神経 / 卵胞 / 黄体 / ラット |
Research Abstract |
本研究は,ストレスによる卵巣機能障害における卵巣交感神経の役割を解明することを目的とする.これまでにラット卵巣を支配する交感神経(上卵巣神経,SON)の電気刺激が,卵巣エストラジオール分泌を抑制させることを報告した.今年度は第一に身体的ストレス刺激の一つとして皮膚侵害刺激が,上卵巣神経の活動に与える影響を調べた.麻酔ラットで卵巣提索に沿って卵巣に至るSONの遠心性活動を記録した.一側後肢の皮膚機械的侵害刺激(5分間)は,SON活動を増加させた.その増加反応は,刺激前値を100%とすると刺激中約125%に達した.増加したSON活動は刺激後も10分以上にわたり持続される例が多かった.この結果から,皮膚侵害刺激が交感神経を介して卵巣エストラジオール分泌を抑制する可能性が示唆される.第二にSON刺激による卵巣エストラジオール分泌低下の機序を検討した.SONがエストロゲン合成のどの過程を抑制するかを調べるため,まず前駆体テストステロンからエストラジオールへの変換反応に着目し,テストステロン測定法を確立させた.麻酔ラットの卵巣静脈血および末梢動脈血を採取し血漿中テストステロン濃度をEIA法で測定し分泌速度を求めた.テストステロン濃度は,末梢動脈血よりも卵巣静脈血で約4倍高値を示した.このことから卵巣からテストステロンが分泌されることが確認された.この手法を用いてSON刺激によるテストステロン分泌速度の変化を明らかにする予定である.更に,ストレス時の交感神経亢進が卵巣ホルモン分泌低下に続いて卵巣の卵胞や黄体組織の形態に及ぼす影響を調べる予定である.
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