2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンE2受容体を介した新規血小板凝集抑制作用の解明
Project/Area Number |
22790241
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
柏木 仁 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60510609)
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Keywords | 血小板 / プロスタグランジンE_2 / EP_2受容体 / EP_4受容体 / 受容体欠損マウス |
Research Abstract |
血小板にはプロスタグランジン(以下PG)E_2受容体のサブタイプであるEP_2、EP_3、EP_4の存在が確認されており、EP_3に関しては血小板凝集を促進する作用があることを当研究室より報告したが、EP_2とEP_4の血小板凝集に対する作用は未だ不明な点が多い。 これまでの検討により、低濃度のPGE_2では血小板凝集促進作用が、高濃度のPGE_2では凝集抑制作用が認められていたので、PGE_2の血小板凝集抑制作用がEP_2とEP_4を介したものであることを明らかにするため、各受容体欠損マウスを用いて凝集抑制作用が消失するか否かを検討した。PGI_2受容体(IP)欠損マウスにおいては、PGE_2の血小板凝集抑制作用が野生型マウスに比較して有意に減弱し、PGE_2がEPだけではなくIPにも作用していることが明らかとなった。一方、EP_2とEP_4の欠損マウスにおいては、野生型マウスに比較して有意な差は認められず、PGE_2の血小板凝集に対する作用におけるEP_2とEP_4の寄与は小さいことが明らかとなった。次に、EP_2とEP_4を選択的に刺激した際の血小板凝集に及ぼす作用をより詳細に検討するため、EP_2とEP_4のアゴニストを用いて同様に検討した。EP_2とEP_4のアゴニストは、濃度依存的に血小板凝集を抑制し、この抑制作用はEP_2とEP_4それぞれの欠損マウスにおいて有意に減弱したことから、EP_2とEP_4を選択的に刺激することで血小板凝集の抑制作用を示すことが示唆された。 以上の結果より、EP_2とEP_4が血小板の機能調節に関与していることが明らかとなり、EP_2とEP_4のアゴニストの新規抗血小板薬としての可能性が示唆された。
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