2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニカラベンによるメタボリックシンドローム改善作用の網羅的メカニズム解析
Project/Area Number |
22790248
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
島田 康人 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40378427)
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Keywords | 内臓脂肪 / 肥満 / ゼブラフィッシュ / ヘムオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
ニカラベン(NIC)は、抗酸化作用とHMOX1遺伝子発現促進など複数の機能を持つプロドラッグ化合物である。HMOX1は抗酸化酵素の1つであり、その発現を誘導するCOPPが肥満ラットのインスリン抵抗性を改善することが報告されている。本研究は、NICの抗メタボリックシンドローム作用を、肥満ゼブラフィッシュを用いてin vivoで証明し、そのメカニズムを網羅的に解明することを目的とした。今年度は遺伝子操作により脂肪組織リモデリングに影響を及ぼす遺伝子群を決定した。 1年目のDNAマイクロアレイ実験にて抽出された候補遺伝子群に対してモルフォリノアンチセンス(MO)を合成、肥満ゼブラフィッシュ腹腔内へ導入し、遺伝子発現抑制実験を行った。同時にNIC投与を行うことにより、これらの遺伝子群の脂肪組織リモデリングへの関与を解析した。1)まずNICで増加したhmox1遺伝子のMOの腹腔内投与で発現抑制することにより、NICの抗肥満作用を消失できるか検討した。その結果、体重・内臓脂肪量には影響が認められなかったが、血糖値が上昇し、hmox1はNICの抗肥満作用における耐糖能調整に影響を与えていると考えられた。2)NICのメカニズムを担う新たな抗肥満遺伝子を発見するため、hmox1と同様の実験を候補遺伝子群に対して行った。その結果UCP3,IGFBP1やGPX4などの抗酸化関連遺伝子において、体重増加・内臓脂肪の蓄積が抑制された。3)マウス脂肪前駆細胞(3T3-L1など)を用いた分化誘導実験を行い、候補遺伝子群とNICの関係を解析した。その結果、IGFBP1の発現抑制ではアディポジェネシスが阻害された。 以上の結果よりインスリン抵抗性の改善がNIC-HMOX1の作用メカニズムの1つであることが明らかにし、さらに新たなメタボリックシンドローム治療遺伝子を複数同定することに成功した。
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