2011 Fiscal Year Annual Research Report
カリウムチャネル機能を制御する新規細胞内生理活性物質探索の新戦略
Project/Area Number |
22790250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古谷 和春 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452437)
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Keywords | 内向き整流性カリウムチャネル / ファーマコフォア / スフィンゴ脂質 / 電気生理学 / 薬理学 |
Research Abstract |
本研究は薬物のファーマコフォアモデルを利用し、カリウムチャネル機能を制御する新たな生理活性物質の同定を目指すものである。昨年度、Kir4.1チャネル阻害薬のファーマコフォアモデルに適合する物質の中から、スフィンゴ脂質のスフィンゴシンが細胞の内側からKir4.1チャネル機能を阻害すること見出した。本年度は引き続き、スフィンゴシンによるKirチャネル機能阻害の詳細を調べた。 HEK細胞に発現させた各種Kirチャネルを流れる電流をパッチクランプ法により測定し、薬理学的な解析を実施した。まず、スフィンゴシンはKir4.1チャネルの他に、Kir2.1チャネルやKir1.1チャネルの機能も阻害することが分かった。また、これらの阻害に明確な電位依存性は見られなかった。スフィンゴシンによるKir2.1チャネル電流阻害のIC_<50>は1.2μMであり、他のKirチャネルも数μMのオーダーであった。次に、内因性のスフィンゴジンによるKirチャネル阻害がおこるか調べるために、スフィンゴシンの生合成を刺激する実験を行った。通常、細胞において最も豊富に存在するスフィンゴ脂質は細胞膜のスフィンゴミエリンであり、スフィンゴシンはスフィンゴミエリンからセラミドを介して代謝的に生合成される。スフィンゴミエリンの加水分解により、スフィンゴシンの直接投与と同様に、しかし数分間かけてゆっくりとKirチャネル電流は減少する。さらに、この電流減少はスフィンゴシンの生合成経路の薬理学的阻害により抑制された。つまり、Kir電流の減少は膜のスフィンゴミエリンの減少が直接的な原因ではなく、内因性スフィンゴシンの生合成が刺激されたため起こったと考えられた。今回の結果は、スフィンゴ脂質のシグナル伝達系の下流でカリウムチャネルが標的となる可能性を初めて示唆している。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Ca^<2+> entry mode of Na+/Ca^<2+> exchanger as a new therapeutic target for heart failure with preserved ejection fraction2011
Author(s)
Daisuke Kamimura, Tomohito Ohtani, Yasushi Sakata, Toshiaki Mano, Yasuharu Takeda, Shunsuke Tamaki, Yosuke Omori, Yasumasa Tsukamoto, Kazuharu Furutani, Yutaka Komiyama, Masamichi Yoshika, Hakuo Takahashi, Toshio Matsuda, Akemichi Baba, Satoshi Umemura, Takeshi Miwa, Issei Komuro, Kazuhiro Yamamoto
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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