2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たなWnt経路制御因子PDZRN3の機能解析と骨再生療法への応用
Project/Area Number |
22790252
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本田 健 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30457311)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / PDZRN3 / Wntシグナル |
Research Abstract |
幹細胞を目的の細胞に分化させる技術の開発は、来るべき再生医療時代に向けた最優先課題である。Wntシグナル伝達系はその分化制御に関与する基幹的シグナル経路であり、細胞分化技術開発における有力な標的経路として期待される。しかしながら、Wnt経路を調節する制御システムの分子機構は未だ不明な点が多い。また、その制御異常は癌化に関わるため、Wntシグナル制御系の分子基盤を詳細に解明することは、安全な分化技術の開発に極めて重要である。本申請者は、骨分化過程において、PDZRN3蛋白質がWntシグナルの新たな制御因子として働いていることを見出している。これらの背景を元に、PDZRN3の骨分化における役割を解明し、Wnt経路を標的とする新たな骨再生療に向けた学術的基盤の確立を目指す。これまで間葉系幹細胞の骨芽細胞分化において、PDZRN3はWnt経路を介して分化を抑制するといった知見を得ていた。平成22年度は、そのPDZRN3が機能する"相手分子"の探索が目標であり、その成果としてWnt受容体であるLRP6という蛋白質を見出した。PDZRN3をノックダウン(KD)した細胞では、LRP6の蛋白質レベルが増加することが明らかとなり、それによってPDZRN3KD細胞に分化刺激を与えるとWntシグナルが亢進するといった機構が解明された。また、PDZRN3KDによってLRP6のmRNAレベルには変化がないことから、PDZRN3はLRP6蛋白質の安定性を制御することが示唆された。実際に、分化刺激後のLRP6蛋白質は一過性に増加した後、減少に転じるが、PDZRN3KD細胞ではその減少が認められなかった。現在、免疫沈降法でPDZRN3とLRP6の相互作用を解析中であり、特にリン酸化されたLRP6にPDZRN3が直接もしくは間接的に結合している示唆を得ている。
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