2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たなWnt経路制御因子PDZRN3の機能解析と骨再生療法への応用
Project/Area Number |
22790252
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本田 健 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30457311)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / PDZRN3 / Wntシグナル |
Research Abstract |
昨年度では、PDZRN3の標的蛋白質候補としてWntリガンドの受容体であるLRP6を発見した。平成23年度は、LRP6を介したPDZRN3の機能解析に加えて、その他の相互作用因子を同定した。LRP6はWnt刺激で細胞内ドメインがリン酸化されるが、PDZRN3と共沈するLRP6を精査した結果、PDZRN3に結合するLRP6はリン酸化状態にあるという興味深い結果を得た。実際に、骨分化刺激でLRP6のリン酸化レベルは増加するが、それに応じてPDZRN3のLRP6への結合量も増加することを確認できた。分化刺激1日後、増加したLRP6のリン酸化レベルは減少に転じるが、PDZRN3発現抑制細胞ではその減少が緩和されることから、PDZRN3は活性化LRP6に結合してその蛋白レベルを抑制することが判明した。しかしながら予想に反して、その挿制作用の実態はPDZRN3が持つユビキチンリガーゼ活性(標的蛋白質をユビキチン化しプロテアソームで分解させる)に依存するものではなく、アダプター機能など他の機序によるものと考えられた。作用機構の詳細は不明であるものの、PDZRN3はLRP6を介したwntシグナルの抑制により、骨分化制御を負に制御することが判明した。また、PDZRN3ノックアウトおよび野生型の新生児マウスの各組織におけるLRP6レベルを解析では、いずれにおいても両者に明確な差は見られず、PDZRN3発現抑制によるLRP6増大は分化初期(幹・前駆細胞レベル)に限局したイベントであることが推測された。PDZRN3は複数のドメインを持つため、それらに応じた複数の結合相手が存在しうる。そこで、PDZRN3との共沈蛋白質を単離し、質量分析計で解析した結果、Wntシグナル因子の分解に関わるEDD1、核外輸送蛋白質Exportin1、核膜孔構成蛋白質Nup214(Wntシグナルメディエーターβカテニンの局在制御に関わる)など、Wntシグナルに関与する興味深い蛋白質が同定された。これはPDZRN3のWntシグナル制御機構について、今後さらなる広がりを示す興味深い成果となった。
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