2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790265
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石井 英樹 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング創薬化学研究チーム, 副チームリーダー (80425610)
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Keywords | 生薬 / 天然物薬理学 / PET |
Research Abstract |
生薬や漢方薬の体内動態研究は含有成分が多く構造が複雑で全合成や化学変換が難しいことから、一般に新薬で行われる放射性標識体での研究がほとんど行われていない。生薬や漢方薬の薬効発現メカニズムや副作用の予測などを行うには、その体内動態研究が必須である。陽電子放出断層画像法(PET法)は陽電子で標識した極微量の化合物を使用し、高感度かつ高精度で生体内の薬物動態を定量性高く評価できる方法である。そこで生薬や漢方薬の主成分を陽電子放出核種(^<11>C)で標識したPETプローブを合成し、これを再び副成分と混合して経口投与すれば、生薬中の主成分の体内動態が解明でき、生薬や漢方薬の有効性のエビデンス構築が可能となる。 しかし生薬の主成分は構造が複雑なものが多く、その構造を保持した状態で陽電子放出核種(^<11>C)を導入するには全合成するか骨格から^<12>Cを除去しそこに再度^<11>Cを導入するしかない。いずれにしても容易ではなく研究期間内に下記の生薬の主成分(半夏(ハンゲ)のβ-sitosterol、乾姜(カンキョウ)の6-gingerol、鬱金(ウコン)のcurcumin、夏白菊(ファーバーフュー)のparthenolide、呉茱萸(ゴシュユ)のevodiamine)の陽電子放出核種体の合成と、一種については詳しい体内動態研究の実現を目指し研究を開始した。 本年度は市販の半夏、乾姜、鬱金、夏白菊、呉茱萸の粉末1kgを購入し、ブレンダーで粉砕、ソックスレー抽出、カラムクロマトにより生成、単離し、標品または原料となるβ-sitosterol、6-gingerol、curcumin、parthenolide、およびevodiamineを得た。現在パンプキンシードのstigmasterolを出発原料として、β-sitosterolの^<11>C標識体の前駆体となる化合物の合成に着手している。
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