2010 Fiscal Year Annual Research Report
非環式レチノイドによる肝臓癌特異的細胞死の経路解析に基づく新規抗癌剤の開発
Project/Area Number |
22790266
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
辰川 英樹 独立行政法人理化学研究所, 分子リガンド生物研究チーム, 特別研究員 (10565253)
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Keywords | 非環式レチノイド / 抗癌剤 / 肝癌細胞 / スクリーニング / レチノイド受容体 |
Research Abstract |
1.非環式レチノイドの標的タンパク質の同定及び評価 癌細胞選択的な細胞死誘導作用を示す非環式レチノイドの標的タンパク質を同定するため、非環式レチノイドのカルボキシル基側にリンカー及びビーズを結合させた化合物を合成した。得られた化合物を肝癌細胞及び正常肝細胞の抽出液とインキュベーションした後に遠心し、得られたタンパク質を電気泳動してCBB染色することにより、質量分析を行うための候補タンパク質を調べた。その結果、正常肝細胞と比較して肝癌細胞を用いたサンプルでは16個のビーズ結合タンパク質のバンドに優位な違いが観察された。この16個のバンドを回収して質量分析を行ったが、一つのバンドに多くのタンパク質が含まれていたため、残念ながらそれぞれのバンドにおいてタンパク質の同定までには至らなかった。今後、ビーズと反応させる条件や電気泳動の分解能の向上に努め、タンパク質を同定する予定である。 2.RXRのリン酸化阻害物質の探索 肝癌細胞では正常肝細胞と比較し、RXRの82番目のスレオニンと260番目のセリンが恒常的にリン酸化されているため、このリン酸化部位を認識するポリクローナル抗体を作製した。リン酸化させたそれぞれのサイト付近のペプチドを結合したカラムを用いて、リン酸化サイト特異的に認識する抗体を得た。ELISAを用いた評価により、非リン酸化ペプチドにはほとんど認識しないが、リン酸化ペプチドには強く認識する抗体を得た。これらの抗体を用いて、核内リン酸化RXR量を定量するハイスループットスクリーニング系を立ち上げ、ライブラリーを用いてRXRのリン酸化を阻害する候補化合物をスクリーニングする予定である。
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