2011 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌人工染色体トランスジェニックマウスを用いたGATA2遺伝子制御解析
Project/Area Number |
22790269
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 未来子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80508309)
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Keywords | GATA2 / 大腸菌人工染色体 / トランスジェニックマウス / 3q21q26症候群 / 白血病 / 骨髄異形成症候群 |
Research Abstract |
網羅的なゲノム解析により、疾患の発症につながるDNA変異が遺伝子の制御領域に次々と発見されている。しかし一方で、その変異による疾患発症機構の解析方法は、未だ十分に開発されていない。本研究では、200kb程度の広範囲なヒトゲノムDNA領域をマウスに導入することのできる大腸菌人工染色体(BAC)トランスジェニックマウスを用いることにより、動物個体レベルでヒト遺伝子制御機構の解析方法を確立することを目的とした。ヒトの骨髄異形成症候群および急性骨髄球性白血病の約2-3%には、3番染色体長腕21領域(3q21)と26領域(3q26)との間の転座または逆位がみられる。これは3q21q26症候群とよばれる。この転座または逆位アリルでは、3q26側のEVI1遺伝子の発現が活性化しており、このことが病態の原因であることがわかっている。この切断点は、前年度に我々がその機能を明らかにしたGATA2遺伝子の77kbエンハンサーの下流に集中していた。そこで、転座または逆位をおこしたアリルでは、77kbエンハンサーがEVI1遺伝子に近接することによって、EVI1遺伝子の転写を活性化しているのではないかという仮説を立てた。これを検証するために、3q21と3q26をそれぞれ含むふたつのBACを結合し、逆位を再現するBACクローンを作製した。このクローンを用いてトランスジェニックマウスを作製したところ、このマウスの造血細胞においてEVI1遺伝子の高発現がみられた。またこのマウスは貧血、血小板増多、また造血組織内の造血幹細胞および造血前駆細胞の増加といった、ヒト3q21q26症候群を再現する表現型を示した。今後、このBACクローンから77kbエンハンサーを除いた構築を作製し、77kbエンハンサーの貢献を明らかにする予定である。
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