2010 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素応答を制御する『酸素センサー』機構の分子メカニズム
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22790274
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中山 恒 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任講師 (10451923)
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Keywords | 低酸素応答 / プロリン水酸化酵素 / PHD3 / PRP19 / caspase / 細胞死 / 長期低酸素 / プロモーター |
Research Abstract |
低酸素コンプレックス構成分子PRP19の機能解析 プロリン水酸化酵素PHD3が形成する低酸素コンプレックスの構成タンパク質としてPRP19を同定して、その機能を解析した。 PRP19はcaspase経路の活性化を阻害して、細胞死を抑制する これまでの解析からPRP19は低酸素下で細胞死抑制に働くことを明らかにした。その分子機序をcaspase経路に着目して解析した。長期の低酸素培養により、HeLa細胞ではcaspase経路が活性化されて細胞死が誘導される。PRP19の発現をsiRNAにより抑制した細胞では、caspase経路の活性が上昇し、細胞死が顕著に増加した。一方、PRP19とPHD3を同時に抑制した細胞では、caspase経路の活性は野生型と同程度であった。このことから、PRP19はcaspaseの活性化に働くPHD3を抑制することで同経路を阻害して、細胞死抑制に働くことが明らかになった。 PRP19の低酸素下における発現抑制機構 PRP19 mRNAの発現が長期の低酸素下で減少することをこれまでに見出してきた。PRP19の発現低下は低酸素模倣試薬であるDFO処理によっても認められた。しかし、転写因子HIFのsiRNAはPRP19の発現抑制には効果を示さなかった。そこで、PRP19のプロモーター領域の解析を進めた。PRP19の開始コドンより上流の3kbの領域を用いて、ルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、上流1.5kbの領域に発現抑制に必要な領域が存在することが明らかになった。一方、同領域に存在する6個のE-box配列を欠失したレポーターにおいても、同様の活性が認められてE-box配列は必要ではないことが明らかになった。今後さらに、PRP19の上流・下流のシグナル伝達機構とPRP19の発現制御機構の詳細な解析を進め、低酸素環境をセンスする細胞内の分子機構の解明をめざしたい。
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