2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790279
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 崇 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (10402562)
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Keywords | 細胞極性 / 細胞遊走 / シグナル伝達 / Rhoファミリー / 細胞骨格 |
Research Abstract |
遊走する細胞は、進行方向に向かって前後軸を形成している。本年度、進行方向前方でのインテグリンによるシグナル伝達、および微小管捕捉機構の解明を目指した。インテグリンのシグナル伝達に中心的な役割を担うタリン結語蛋白質としてRac活性化因子Tiamlを同定した。また、細胞内、あるいは組織内でこの二者が複合体を形成することを見出した。細胞内でTiamlの局在を検討したところ、Tiamlがタリンと同様に細胞期質間接着部位に濃縮すること、Tiamlはタリンとの結合を介して接着部位に濃縮することを明らかにした。さらに、タリンやTiamlが細胞基質間接着のターンオーバーに必須であることが明らかになった。これらの結果は、Tiamlがタリンを介して接着部位に濃縮し、局所的にRac1を活性化することで、接着部位のターンオーバーを制御することで、遊走細胞の前後軸形成を制御する可能性を示唆している。今後、Tiamlの活性、および接着部位への濃縮を制御する分子機構を明らかにしていく。一方で、遊走細胞前方でおこる微小管捕捉機をin vitroで再構成することを試みた。高精製度の+TIPs (EB1, CLIP-170)を大腸菌、あるいは昆虫細胞から精製し、cell-freeでのend-trackingを再構成することに成功した。さらに、微小チャンバー側壁にIQGAP1を塗布し、衝突する微小管のダイナミクスを解析すると、CLIP-170が側壁に沿ってガイドされる様子を捉えた。以上の結果は、細胞内でもIQGAP1が微小管をガイドする可能性を示している。今後は、様々なコントロール実験を行い、IQGAP1による微小管制御メカニズムの全貌を明らかにしていく。
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