2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790279
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 崇 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (10402562)
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Keywords | 細胞極性 / 細胞遊走 / シグナル伝達 / Rhoファミリー / 細胞骨格 |
Research Abstract |
遊走する細胞は、進行方向に向かって前後軸を形成している。本年度、aPKCによるTiam1の活性制御機構、および再構成実験による微小管捕捉機構の解明を目指した。精製蛋白質を用いたin vitroリン酸化アッセイにより、aPKCが直接Tiam1をリン酸化することを見出した。主要なリン酸化残基はTiam1のN末端に位置した。一方で、Tiam1のN末端は分子内のドメインと相互作用することで、Tiam1の活性を抑制していることも見出した。さらに、細胞内でaPKCによるリン酸化がTiam1の細胞膜への局在変化を引き起こし、Tiam1を活性化することを明らかにしつつある。これらのことから、aPKCはTiam1のN末端をリン酸化することで、Tiam1の構造変化と活性を調節し、遊走細胞内の局所的なRacの活性化を担っていることが示唆された。 CLIP-170のリン酸化を担うキナーゼとしてAMPKやPlk1を同定した。再構成実験においてAMPKやPlk1によるCLIP-170のリン酸化の意義を検討したところ、AMPKやPlk1によるリン酸化はCLIP-170の微小管先端と微小管格子への濃縮を減弱させた。また、この減弱はCLIP-170とチューブリンとの結合に起因することを見出した。一方、in vitroでCLIP-170はCLASP2と協調して微小管ダイナミクスを制御し、安定化することを見出した。さらに、このCLIP-170の微小管安定化能は、AMPKやPlk1によるリン酸化で抑制されることを明らかにした。CLASP2は遊走細胞内で非対称に微小管上に分布するため、そこでCLIP-170と協調し、AMPKあるいはPlk1などのキナーゼの制御下で微小管ダイナミクスを制御していることが示唆された。
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