2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22790283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 和利 京都大学, iPS細胞研究所, 講師 (80432326)
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Keywords | iPS細胞 / リプログラミング / 癌 |
Research Abstract |
※研究の目的 細胞の状態が変化する際には増殖を伴う場合が多い。体細胞核が初期化され多能性幹細胞へと変化する場合においても同様である。これまでに核の初期化という現象は人為的に操作することができず、細胞の状態変化と増殖を切り離して考えることができなかった。本研究課題は人為的な核の初期化によって引き起こされるiPS細胞の樹立過程をツールとして、核の初期化と細胞増殖の関係を明らかにすることを目標とする。 ※研究実施計画 本研究課題においては、細胞のリプログラミングと増殖の関係を明らかにすることに焦点を当てている。昨年度までの研究により、リプログラミングは細胞増殖停止状態においてもある程度進行しうることを明らかにした。また、細胞増殖非依存的にリプログラミングを促進する因子の同定にも成功している。 ヒト体細胞に初期化因子を導入して実際にリプログラミングを受ける細胞は1~数%程度である。リプログラミング途中に起こる現象を詳細に解析するために、リプログラミングされ始めた細胞を純化する系を構築した。この系を用いて、90%以上の純度でリプログラミングを受けた細胞を濃縮することに成功した。初期化因子に加えて、リプログラミング効率に影響を及ぼすプラスアルファの遺伝子を導入し、その機能解析を行った。その結果、リプログラミングを増殖非依存的に促進する因子の同定に成功した。今後はこの因子をさらに詳細に解析し、リプログラミングにおいて増殖に依存する部分としない部分の理解を深める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の目標であるリプログラミングにおける細胞増殖の重要性に迫るために、リプログラミングの効率に影響を及ぼす因子がどのような作用機序で働いているのかを明らかにした。解析した4つの因子のうち2つは増殖を促進することでリプログラミング効率を高めたが、1つは増殖非依存的に効率を上昇させた。遺伝子発現解析の結果から、増殖非依存的なリプログラミングの進行に関する証拠が得られている。
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