2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞を用いた骨格筋前駆細胞誘導と筋ジストロフィー治療への応用
Project/Area Number |
22790284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 英俊 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点講師 (80528745)
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Keywords | iPS細胞 / 骨格筋前駆細胞 / 分化誘導 / 筋ジストロフィーモデル / 中胚葉誘導 |
Research Abstract |
ヒトiPS細胞分化培養系において、PDGFRa陽性細胞を50%程度誘導できる分化誘導条件を確定した。しかしながらPCRによる遺伝子発現解析にて、PDGRa陽性細胞が全て沿軸中胚葉の前駆細胞ではないことが明らかとなり、その中でもPDGFRa陽性KDR陰性分画が、体節レベルの分化段階である沿軸中胚葉前駆細胞であることを見出した。この沿軸中胚葉前駆細胞を、筋損傷モデルのNoc/Scidマウスに移植したところ、細胞の生着は確認できたが、すべて間質に存在し骨格筋再生に寄与している細胞は同定できなかった。また試験管内での成熟した骨格筋への分化誘導も様々に試みたが、残念ながら成熟骨格筋への分化はいずれの条件でも認められなかった。 以上の結果より、PDGFRaをマーカーとして用いる分化誘導系においては、マーカー上はマウスips細胞での研究と同等の前駆細胞を誘導することに成功したが、この中に骨格筋前駆細胞が存在するという確証は得られなかった。 そこで他の方法を試みた。MahmoodらがヒトES細胞で報告した(J. Bone and Mineral Res. 2010) Acitivin阻害剤を使用した分化誘導法で、試験管内で骨格筋に分化しうる前駆細胞を同定した。またこの前駆細胞を筋損傷モデルのNoc/Scidマウスに移植したところ、生体内でホストの骨格筋と融合している組織像が観察され、再生に寄与していると考えられた。また奇形種の発生は認められなかった。 現在は筋ジストロフィーモデルマウスへの移植を試みているが、計画書に記載した免疫トレランスの誘導方法は効果がなく、当研究所中畑研究室が作成しているNOGマウスのバックグラウンドに改変した筋ジストロフィーモデルマウスを使用させていただけるよう共同研究を提携した。
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