2011 Fiscal Year Annual Research Report
脱ユビキチン化酵素A20のマウス個体における役割の研究
Project/Area Number |
22790292
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲垣 舞子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (70543396)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
平成23年度は当初の実験計画に従い、炎症反応を負に制御する因子である脱ユビキチン化酵素A20の組織特異的ノックアウトマウスの解析を行った。まず、A20の腸上皮特異的ノックアウトマウスは目立った表現型を示さなかった。A20皮膚特異的ノックアウトマウスは正常に生まれてくるが、離乳後の生育が野生型と比べて著しく悪かった。A20を欠損させた組織をマウスから単離して組織切片を作製し、表現型を形態学的に解析したところ、皮膚組織には顕著な異常はみられなかったが、手足指に激しい炎症が認められた。さらに詳しく解析を行ったところ、胃の食道側の部位に激しい炎症および肥厚化が認められた。マウスにおいては、胃の食道側は角化扁平上皮で覆われていることが知られている。このことから、おそらくA20皮膚特異的ノックアウトマウスにおいては、胃において異所的にCre遺伝子が発現するためA20が欠損していると考えられる。また、その結果として胃に炎症が起き、食物の消化吸収が阻害されることが原因で生育不全が起こっているものと考えられる。皮膚に炎症が起きず、手足指と胃に炎症が限局する原因については不明であるが、.離乳前は生育に差がないことから、物理的刺激の多寡が原因のひとつとして考えられる。この点については今後検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)