2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂質代謝酵素群HRASLSファミリーの内因性基質の同定およびそれらの機能解析
Project/Area Number |
22790294
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
宇山 徹 香川大学, 医学部, 助教 (30457337)
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Keywords | HRASLSファミリー / 脂質代謝酵素 / ホスホリパーゼA1 / ホスホリパーゼA2 / N-アシルトランスフェラーゼ / 癌抑制遺伝子 / グリセロリン脂質 / O-アシルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
最近、我々は、癌抑制遺伝子として単離された5種類のHRASLSファミリー・メンバー(HRASLS1-5)のうち、HRASLS2-5の4分子がリン脂質を基質とする脂質代謝酵素活性を保有していることを見出した。本研究では、性状が不明であるHRASLS1の解析を行い、HRASLSファミリーのすべての分子が脂質代謝酵素活性を示すかを検討した。HRASLS1のcDNAをヒト、マウス、ラットからクローニングし、FLAGタグを付加した組換えタンパク質としてCOS-7細胞で発現させ、酵素活性を測定したところ、他のHRASLSファミリー・メンバーと同様にリン脂質から脂肪酸を遊離させるホスホリパーゼA_1/A_2活性が検出された。次に、ヒトHRASLS1を抗FLAG抗体をリガンドとするアフィニティークロマトグラフィーによってほぼ均一にまで精製し、これらを用いて酵素学的性質を解析した。その結果、還元剤であるDTTにより活性化され、SHブロッカーであるヨード酢酸で阻害されることが明らかになった。いくつかの既知のPLA_2で見られるCa^<2+>依存性は認められなかった。また、PLA_1活性の方がPLA_2活性よりも優位であることが明らかになった。ヒト、マウスおよびラット組織における発現分布をPCRで解析した結果、精巣、骨格筋、脳および心臓で強く発現していた。以上の結果から、HRASLSファミリーのすべての分子が脂質代謝酵素活性を保有していることが明らかとなった。
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