2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790296
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥野 利明 九州大学, 医学研究院, 助教 (60361466)
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Keywords | BLT2 / 脂質 / GPCR / LTB4 / 12-HHT / 大腸炎 / DSS / 炎症 |
Research Abstract |
BLT2はロイコトリエンB4(LTB4)の低親和性の受容体として同定されたが、高い濃度のLTB4を活性化に必要とするため、他のリガンドの存在を想定し、内在性脂質リガンドの同定を試みた。その結果、ラット小腸の脂質抽出物から、12-ヒドロキシエノイック酸(12-HHT)が内在性リガンドであることを明らかにした(Okuno JEM 2008)。BLT2の腸管における役割を明らかにすることを目的に、BLT2遺伝子欠損マウスのデキストラン硫酸塩(DSS)誘導性の大腸炎モデルを作製し、解析した。BLT2欠損マウスは野生型マウスと比較し、重篤な体重減少と炎症の亢進を示した。またDSSで処理したBLT2欠損マウスの大腸では、炎症性サイトカインの産生量が顕著に増加していた。免疫組織染色を行ったところ、大腸のクリプトにおいてSTAT3のリン酸化が見られた。F4/80陽性細胞がIFN-γ陽性であったことから、活性化したマクロファージが炎症性サイトカインを産生していることがわかった。大腸の上皮細胞にBLT2が発現すると考えられたため、BLT2のバリア機能における役割を解析した。BLT2過剰発現MDCK細胞は、上皮細胞間抵抗値(TER)が上昇し、FITC-デキストランの漏れ込みが増加した。以上の結果は、BLT2が大腸のタイトジャンクション形成に関わり、DSS誘導性の大腸炎において抗炎症的に関わることを示唆している(Iizuka,Okuno,FASEB J 2010)。
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