2010 Fiscal Year Annual Research Report
造血関連因子Runx1の骨軟骨組織における新規生物作用の解明
Project/Area Number |
22790297
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
平居 貴生 京都府立医科大学, 大学院・医学研究科, 助教 (80389072)
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Keywords | 生体分子 / 発生・分化 |
Research Abstract |
ヒト白血病発症において高頻度に遺伝子変異の標的となる転写制御関連分子としてRunx1(AML1)がよく知られている。疾病発症のメカニズムの理解にはRunx1分子の生体内での正常な機能の理解が不可欠で、これまでに遺伝子破壊個体の作出などでアプローチされてきた。こうした状況の下、本研究ではこれまでのRunx1機能低下型変異マウスの解析によって蓄積された情報を足掛かりに、まずはRunxファミリーに焦点を絞って、Runx1の骨形成における特異的機能とRunxファミリー分子間の補償性の有無を明らかにすることを試みた。ファミリー分子間の機能補償性やRunx1の新規機能などを明らかにするためには、シンプルな遺伝子破壊だけでなく、組織特異的・誘導的遺伝子標的実験などによる遺伝学的手法、すなわち異なった視点からのより複合的なアプローチによる解析が重要であると考えられる。よって、骨格系形成細胞におけるRunx1に特異的な新規機能を明らかにするために、Cre-loxPシステムを用いた間葉系細胞特異的Runx1遺伝子欠損マウス(Prx1-Cre : Runx1^<flox/flox> : Runx1-cKO)を作製し、これらマウスの表現型の解析をおこなった。その結果、生後3週齢までのRunx1-cKOの胸骨剣状突起における形体異常と骨化遅延が明らかとなってきた。さらに、Runx1-cKOから調製した骨髄間葉系幹細胞では、骨芽細胞への分化が著明に減弱するなど、Runx1機能低下マウスの解析のよって、Runx1が間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を制御している可能性が示唆された。
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