2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼCデルタ3が制御する神経突起形成メカニズムの解明
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22790300
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
河内 全 東京薬科大学, 生命科学部, 研究員 (70322485)
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Keywords | ホスホリパーゼC / 神経突起伸長 / Rhoファミリー蛋白質 / 大脳皮質ニューロン / 子宮内エレクトロポレーション / 小脳顆粒細胞 |
Research Abstract |
1.大脳皮質におけるホスホリパーゼCδ3(PLCδ3)の機能解析 PLCδ3は大脳皮質に発現が多く見られる。大脳皮質ニューロンの突起形成に関するPLCδ3の役割を解析する目的で、神経細胞初代分散培養系を用いてPLCδ3の機能阻害が及ぼす影響について解析した。PLCδ3の発現を抑制したニューロンでは、培養3日目においてコントロールに比べて神経突起及び軸索形成が共に約50%阻害された。また培養7日目においてコントロール細胞では正常な樹状突起が見られたのに対して、PLCδ3ノックダウン細胞では樹状突起の形成阻害が見られた。更に恒常的活性化変異体を発現した大脳皮質ニューロンでは野生型PLCδ3発現ニューロンの2倍の突起伸長が見られた。以上の結果より正常な神経突起形成にはPLCδ3活性が必要であり、PLCδ3は軸索及び樹状突起両方の突起伸長を制御すると考えられる。 2.神経突起形成に関わるPLCδ3下流シグナルの解析 Neuro2a細胞においてPLCδ3は同様に突起形成を正に制御し、RhoA発現量を転写レベルで抑制することでRho/Rhoキナーゼシグナル系を阻害することを見出している。PLCδ3はホスファチジルイノシトール二リン酸(PI(4,5)P_2)を分解してイノシトール三リン酸(IP_3)とジアシルグリセロール(DAG)を産生し、前者はCa^<2+>上昇を誘導し、後者はプロテインキナーゼC(PKC)を活性化する。どちらのセカンドメッセンジャーが重要であるかを解析する目的でコントロール及びPLCδ3ノックダウン細胞をionomycinやthapsigargin及びPMAで処理した結果、ノックダウン細胞でいずれの場合も薬剤処理による分化誘導後のRhoA発現量低下が見られた。以上の結果よりPLCδ3による神経突起形成にはCa^<2+>上昇及びPKC活性化の両方が必要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)